まあ「ほえる犬は噛まない」のヒロイン、ペ・ドゥナが脱ぎ倒しているというところに惹かれて鑑賞したという事実に言い訳はしませんが。(こちらのほうが100倍かわいらしく撮られています。)
いくつかの批評サイトで言及されているように、扇情的なタイトルからすると全然普通の青春映画。原題も「青春」とそのものずばり。全体のトーンはロマンポルノの監督による一般作みたいな、ちょっと懐かしい感じ。というか服装からなにからダサすぎて、80年代初期の例えばディレクターズ・カンパニー作品を見ているような気すらした。ミレニアムという単語が出てきていたからごく最近の物語のはずなんだが・・・
それはさておき、これは主人公の2人の男の精神的ホモセクシャルの関係についての物語である、という以前に、あちらの国でも相当数の読者を獲得しているという村上春樹の世界をやってみたかったのではないかと思う。人生に失望していて、でも女の子は寄ってくるからセックスには不自由してなくて、しかし決して満たされない主人公という人物造形、あるいは村上作品で繰り返し語られる、かなり年上の女性と青年のセックス(まあそれこそ「プライベートレッスン」的なフォーマットでもあるけれど)というような表層的な部分での類似性だけでも顕著だ。
またペ・ドゥナ演じる、明るいけれど実際はとてもナイーブな看護婦の女の子を「みどり」と考えると、全体としては「ノルウェイの森」を念頭に作っている印象も受ける。(最後も、かけがえのない人を失った主人公がターミナルからそのヒロインに電話を掛けるシーンで結末を迎える。)でも韓国の映画でも旧世代のスタイルに属する作品のせいか、主人公の空虚さの演出が徹底し切れていなかったように思われた。