悪魔のいけにえ2(トビー・フーパー)

僕のフェイバリット・ホラーである「悪魔のいけにえ」。あのドキュメンタリーチックなざらざらした映像。それでいてハッとするような美しい画があったり、真にオリジナルでアーティスティックな骨のオブジェ。という訳で、あの(悪)夢よもう一度と鑑賞。

結論からいうと、よくできたB級ホラーでしかなかった。

前作は映画の女神に愛された監督が一生に一度だけ作ることが出来る「奇跡の作品」だったのだと思う。(他の例:ダイハード、ゾンビ)それなりに派手になった分「安く」なった音楽。規模が大きくなったせいで予算を露呈したセット等、バジェットとキャリアが裏目に出た感じ。

たくましいヒロイン、どこまでもクドい程に追ってくる敵、という点でT2の先取りといえなくもないが、経験をつんで小器用になった分、破綻するほどの勢いが失われてしまった印象である。(製作年を確認するとエイリアン2と同年。ヒロインの造形は先取りというよりも同時発生の時代的な気分だったのかな。)

実はエンドクレジットまで監督がフーパーと知らなくて、作風からすると意外であった。見終わったあとで1作とのテイストの違いに唖然としたことや、思わぬ人が監督だったことなど、不思議と「ハスラー」とその続編を思い起こさせる映画だった。そういう色々がまた80年代っぽくはあるね。