2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ランボー 最後の戦場(シルベスター・スタローン)

噂にたがわぬ人体破壊の凄惨さ。ところでカオスな状況の戦場の描写においても、位置関係(誰が誰をどうやって倒そうとしているか)がクリアなのがすごい。編集の人がいい仕事してた。 無邪気に興奮して観ていた2作目、3作目を顧みて、いろんな意味で、敵役…

Y氏の終わり(スカーレット・トマス)

研究者アリエルは「Y氏の終わり」という奇書の存在を知る。その本は、現存が確認されているのが1冊きりの上、読んだ人間が行方不明になるなど呪われるといういわくつきの小説だった。彼女はふとした偶然からその本を手にすることになる。それは「人の心」…

パンズ・ラビリンス(ギレルモ・デル・トロ)

ギレルモ監督のフィルモグラフィーは、テーマ性(あるいは監督の趣味性)が強い作品と完全に娯楽を志向している作品に大別できると思います。(ex.前者『クロノス』『デビルズ・バックボーン』、後者『ブレイド2』『ヘルボーイ』)今作を伝え聞くところでは…

スリザー(ジェームズ・ガン)

開幕、「ニキビがひどい人」などの所謂「映画的でない顔」のモンタージュが多数続いた後、主人公が語る「適者生存」の進化の授業につなぐという演出に、意地悪で悪趣味系の映画なのかとちょっと構えてしまいましたが、全然そんなことはなく、極めてウェルメ…

パルプ・フィクション(クエンティン・タランティーノ)

学生時代にリアルタイムで見て以来?の再見。「パルプ・フィクション」以前以後で娯楽映画のスタイルが変わった、という道標的な作品として今では位置づけられているこの映画。与太話、群像劇、容赦ない暴力描写、時制のシャッフルといったところが後続の作…

蒸気駆動の少年(ジョン・スラデック)

「奇想コレクション」はあくまでエンターテインメント小説ということに軸足を置いている選集だと思っていたので、この飲み下しにくさはちょっと意外だった。(とはいえ、娯楽作品から超シュールなものまで振幅の大きい短篇群なので全部がそうとは言い切れな…

大人になったら

最近、昔のプログラム・ピクチャーを少し観るようになったので何となく雰囲気が掴めだしたのだけど、「日活無国籍アクション」ってありますね。少年時代熱中していたケイブンシャ『全怪獣怪人大百科』(最近復刻されたのかな?)の「怪傑ズバット」の紹介キ…

The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire(円城塔)

目にするまでは忘れていた、記憶の片隅のそのまた隅に眠っていたような「名セリフ」「定番の言い回し」をサルベージしてくる手法が、脳の痒いところに手が届く感じで快感なんだけど、この感触、何かに似てる・・・と思ったらパーリスさんだった。 ☆☆☆1/2

黒い玉(トーマス・オーウェン)

人間の罪の意識をメタファーに仮託して描く、クラシックな味わいの作家。収録作では「雨の中の娘」のように、悪夢的世界でありながら一種の美しさがあるような物語が好みだったので、同じテイストの作品がもう2、3あれば個人的には高評価だったのにと思う…

野獣の青春(鈴木清順)

映画史的には所謂「清順美学」が開花した作品という位置づけになるようで、構えてしまったけれど物語は普通。そして普通に面白かった。 素性の知れぬ流れ者ジョー。風のように現れた彼は野本興業のシマを荒らしまわり、その腕を買われて用心棒に収まる。常人…

ブラッド・ダイヤモンド(エドワード・ズウィック)

いきなり大きいこというと、人間は本能的に「地獄巡り」の物語を娯楽として欲する生き物なのではないでしょうか。創作の分野(小説、映画、漫画)を問わず、ジャンルを問わず、古典では『神曲』しかり(読んだことないけど、大きいこといったついでに)、映…