2007-01-01から1年間の記事一覧

魔物を狩る少年(クリス・ウッディング)

プロシアの飛行船に壊滅的な打撃を受けた戦争も終わり、ようやく復興の途についたヴィクトリア朝のロンドン。しかし産業革命に沸く大都市の影では、魔物や切裂き魔が跳梁していた。魔物狩りを生業とする若干17歳のサニエルは、ある日何者かに魅入られた美…

ウエスト・ワールド(マイケル・クライトン)

最新のテクノロジーの粋を集めたテーマパークが、コントロール装置の不具合により暴走、って『ジュラシック・パーク』と同じ話やん!まあそれ以前に定番でもありますが。ユル・ブリンナーがどういう気持ちで演じていたのか(想像させられるの)が一番の見所。…

宇宙戦争(バイロン・ハスキン)

それで、おまけとしてオリジナル映画版がついてた。名作とは聞いていたが確かに傑作。ただ、「どんな存在ともコミュニケーションは可能なはず」と信じて対話を試みる牧師さんをあざ笑うかのように瞬殺するカットとか、ガイガーカウンターがゴリゴリ反応して…

宇宙戦争(スティーブン・スピルバーグ)

DVDで再見。映画館で観たときの終末感や絶望感が10分の1くらいに。やっぱり映画館でみるべき映画というのはあるものだな(EX.『トゥモロー・ワールド』)、と思ったことでした。 ☆☆☆☆

リトル・ミス・サンシャイン(ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス)

ペーソスという日本語ナイズされた英語を聞いたときに、反射的に想像するような物語でした。 ところでアラン・アーキン以上に、スティーヴ・カレルが素晴らしい。押さえた演技なのににじみ出るものがある。こんなに静かで味わい深い芝居ができる人だったとは…

アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂 幸太郎)

大ネタ使いには感心。でも率直にいうと最後までノれなかった。ネタ以外のネタバレありです。 ノれなかった理由は、なんというか漫画のラブコメ的な配置と造型の登場人物。逆にそういう感じが好きな人には堪えられないかもしれない。その一方で、問題になる事…

あるいは裏切りという名の犬(オリヴィエ・マルシャル)

タイトルから昔ながらのフィルムノワールを予想していたら、『スズメバチ』みたいなハリウッド的方向に洗練された仏アクション、の方だった。これはまずタイトルの勝利。ナイス邦題。 物語は時代に取り残された不器用な男たちの激突もの。ザックリいって「健…

ユメ十夜(V.D)

競作形式のオムニバスは、監督が独自性を発揮したくなって原作とはかけ離れたものになってしまい、かといって潤沢な予算が割かれる訳でもないので「新しい解釈」も完成品を観たらグダグダみたいな結果になることが多い。江戸川乱歩の同様の企画などそれが顕…

エディターズバッグ:ジャスミン(ダニエル&ボブ)

オロビアンコのナイロンショルダーを買おうかとも思ったのだけど、流行に乗っかってダニエル&ボブのジャスミン、エルバメントのブラックを購入。ネットの感想を見ると、満足したとか良かった点しか書いてないことが多い。ので、客観的に感想を書いてみると…

サクマ式

最近、『火垂るの墓』オープニングから涙するまでの間がどんどん短くなってる。今日は電車のとこでもう泣いた。いまに「ほたるのはか」というタイトルを聞いただけで泣ける日が来ると思う。「ほたるいか」って肴を注文するだけで泣ける日も来るかもしれない…

パラレル(長嶋有)

登場人物に共感できるか否かで小説の評価を決めるのは狭量だと思う。けれど、主人公たちの中途半端な鬼畜ぶりがリアルで(身の回りにもまあ・・・いるよなあ、こういう人種)不快だった。離婚の端境期にズルズルと甘えてみせる主人公の元妻もやけに生々しく…

サイダーハウス・ルール(ラッセ・ハルストレム)

原作の猥雑なパワフルさみたいなものが、オスカーサイズに剪定されてた感じ。映画単体としてはよい作品だと思うけれど、『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』はまだそこら辺のニュアンスが生きてた印象があるので。まあ作者自身の脚色だからこれ…

マジック・フォー・ビギナーズ(ケリー・リンク)

短編集をCDアルバムとのアナロジーで語るのはそれほど的外れではないと思うんだけど、先行シングルが良くて手に取ったら、結局その3曲だけがよかった、みたいな印象。 『スペシャリストの帽子』はスリップストリーム的な立ち位置の現代小説の中では、エン…

東京奇譚集(村上春樹)

最近の村上作品は「手癖だけで書いてる」感があって今ひとつピンとこないのだけど、残念ながら今回もそれは払拭されなかった。トレードマークの気が利いた比喩も、もはや自己模倣的(というか村上フォロワーの作家作品みたい)。 ただ書き下ろしの『品川猿』…

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(庵野秀明)

大人になってから中学・高校の世界に触れたとき、当事者として居た時には気付かなかったいびつさに気付いてギョッとすることがあるけれど、そんな感じでした。 というのも、何も分かってない14歳の少年を連れてきて、いきなりあんな大きな仕事を担わせると…

Instant Light: Tarkovsky Polaroids

ポラロイド写真なのに、タルコフスキーの映画そのままの世界観なのがすごい。やっぱり写真は腕なんですね・・・という当たり前のことを再認識させられる。ただ、完成かつ完結した世界なので、妄想の入り込む余地も少ないというか、「余白に遊ぶ」といった見…

鷲は舞い降りた(ジョン・スタージェス)

ドイツ軍人を主役に据えるためのエクスキューズに苦慮した様子。面白かったです。 硬派な戦争アクションを想像してたら、意外と戦争風刺コメディ的でもあり。(どっちに行きたいのかちょっと踏み込みが中途半端なところもあるけれど。)最初は冗談みたいな思…

シンシナティ・キッド(ノーマン・ジュイソン)

『ハスラー』のビリヤードをポーカーに置き換えたら、という趣旨の映画。作品トータルとしてみたときには『ハスラー』の方が上だと思うけど、役者の魅力で押し切る勢いはあると思いました。 ネット上の感想で面白かったのは、「映画としての優劣はともかく」…

理想の恋人.com(ゲイリー・デヴィッド・ゴールドバーグ)

登場人物以外の人も含めたいろいろな人々が、カメラのこちら側に向かって馴れ初めを語る、というのが導入部分というタイプのラブコメ。そう聞いて、あなたが想像した内容で大体100%当たってると思います。 離婚で心に大きな痛手を負った男女が、ネットで…

ハウリング(ジョー・ダンテ)

この監督にしてはシャレが少ないというか、ストレートにB級の匂いがする。さすがにロブ・ボッティンのSFXは素晴らしいけれど、それだけかな。好みだとは思いますが、シュールな味わいの『狼男アメリカン』の方が作品としてのクオリティは高いと思います。…

飛べ!フェニックス(ロバート・アルドリッチ)

サハラ砂漠を横断中、砂嵐に襲われて不時着した飛行機。期待した捜索隊の望みが絶たれた時、男たちはそれぞれのサバイバルの道を選択する・・・ タイトルから想像してたようなアクションものではなくて、砂漠を舞台にした「密室」もの。誰一人完全なヒーロー…

鬼太郎が見た玉砕

香川照之の(『カポーティ』でのフィリップ・シーモア・ホフマンを超えたと言っても過言ではない)「水木さん」憑依演技や、鬼太郎のマンガでおなじみの「ビビビビビビン」を実写化するとこうなるのか!というビンタ演出。そしてそのビンタの反復が生み出す…

ルームメイト(リアル版)

最近クールビズの影響か、上司も含めて肩掛けビジネスバッグ(というかカジュアルバッグのビジネス流用?)が職場で流行っている。なので僕も乗っかってみようとフェリージのショップへ足を運んだ。 ところが狙っていたサファリ(ベージュ)の肩掛けタイプ(…

オーシャンズ13(スティーブン・ソダーバーグ)

それで『アウト・オブ・サイト』以降のソダーバーグを象徴しているようなこのシリーズ。実は酷評されることが多い前作は全然OKだったのですが(確かに内輪ネタは鼻についたけど)。「動く高級服飾雑誌」的にオシャレさんぶりを楽しめばいいのではないかと…

インサイド・マン(スパイク・リー)

作家主義的な視点から語られることが多いスパイク・リーが、ど真ん中の娯楽作を撮ったら?でも映画作家的な匂いは残しつつ、みたいな企画だったのでしょうか。要はスティーブン・ソダーバーグのフィルモグラフィでの『アウト・オブ・サイト』みたいな位置づ…

コンドル(シドニー・ポラック)

CIAの末端組織で読書分析の仕事をしているコードネーム、コンドル。ある日彼が昼食で席を外している間に、局員が皆殺しになる。彼は保護を求め本部と連絡をとるが、その過程で局員皆殺しの作戦に本部の意志が関わっていることに気付く。かくして彼の孤独…

ヴェリー・ベスト・オブ・ジャンゴ・ラインハルト(ジャンゴ・ラインハルト)

『ベルヴィル・ランデブー』がジャンゴ・ラインハルトへのオマージュ的なサントラとなっていたのに続いて、『B・モンキー』でもジャンゴの曲が重要な場面で使われているという偶然に只ならぬものを感じて(大げさですが)、速攻でamazonの購入ボタンを押し…

トランスフォーマー(マイケル・ベイ)

大長編ドラえもんのテイストあふれる前半の雰囲気で通してくれたなら。最初展開が見えなくてワクワクしてたのに、クライマックスに近づくにつれ、スケールが小ぢんまりになるというのは作劇上失敗では?思うにマクガフィンをめぐる戦いに話を矮小化したのが…

Bモンキー(マイケル・ラドフォード)

そうよ下着は黒で 煙草は14から ちょっと待ってくれれば なんだってくすねてきたわ 〜〜 みんな知らない変わりはじめた私を ・・・以上、名曲『セシルの週末』からでした。そういう話。 例によってタランティーノ系の犯罪映画かと思って観たら、意外な佳作…

イッツ・オンリー・トーク(絲山秋子)

寺島しのぶと豊川悦司で映画化って、見る前からおなかがもたれるような面子だな。というか、セックスがらみのきわどい話の映画化って、最近は寺島しのぶがほとんど持っていってるような印象がある。なぜにそこまで・・・需要があるんすかねぇ。「きわどい話…