2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧
原作小説はウェルメイドな落としどころを志向する、極めてドメスティックな人情話だった。(小林信彦に近い感触。)だから奇矯な人物として造型されている伊良部医師ではあるが、その枠組みを逸脱することは決してない。 というところで、どちらかというとシ…
最近「新訳版」がブームだけど、そのせいで旧訳が消滅してしまうのはちょっと寂しいと思う。というのは、所謂「翻訳文体」の固さが好きだから。それと、時代がかった言い回しを全部現代風の口語に移し替えるのが全くの正解とは思えないので。 ということを考…
訳者あとがきにあるように、村上春樹の影響を強く感じる作風。要はハードボイルド(翻訳文体込み)的方法論でちょっと不条理な日常を描くというもの。 ただ、似ているようで決定的に違うのは、村上作品が平和ボケして気付かれない日本の社会システムそのもの…
BoAのFASIOのCMは女性というより我々世代(30代〜の男)に対してボールを投げているのだと思う。ザ・ベスト・コマーシャル。
ヤン・ラングレンのジャズトリオ初リーダー作。実は随分前にワゴンセールで偶然手にして、聞いてみたらあまりに素晴らしかった、というアルバムです。(これだからワゴンセールも侮れない。)ネットで調べてみたら、実は知る人ぞ知る名盤でした。僕はあまり…
いつものように、これまたうかつな話なのですが。『蠅』という最高に怖い小説がある、というのは以前から怪奇小説の基礎知識としては知っていて、てっきりクラシックな奇談だと思ってたら『ザ・フライ』というか『蠅男の恐怖』の原作だったのですね。しかも…
緩慢な終末を著者独特のリリカルな筆致で描いた表題作「最後のウィネベーゴ」は深い余韻を残す名作。さすがにヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞ほか5冠に輝いただけのことはあると納得。 けれどもロマンティックコメディ好きの自分としては、ウィリス自…
黒田作品初の実写化ということでどうなることかとドキドキしてたのですが、存外大丈夫だったのでよかった、よかった。よかったといえば、ニコ役の大後寿々花が動いているのを見たらスチルの100倍よかった。塚本晋也のお父さん役もなんだか得した気分。 残…
端的にいうと『ビッグ』の焼き直し。ただ反面教師としてこれほど都合のよい見本もない、というくらい無残な出来。アメリカではそこそこヒットしてたはずなのになぁ・・・ イノセントな主人公に触れたことで、周囲の人々が「大人の都合」という軛から開放され…
『イリュージョンVS』から原題に戻したんですね。やっぱり評判が悪かったのかな。原作ファンも取り込もうというのだったら『プレステージ』が正解でしょうね。前に書いた感想はコチラhttp://d.hatena.ne.jp/cinemac/20070220
想像していたよりも下品でバカバカしかった(いい意味で)。メル・ブルックスのコメディは「うーん・・・」となってしまうこともあるけれど、これはかなり磐石なつくり(68年のオリジナルは未見)。作詞・作曲もメル・ブルックスっていうのがすごい。最後…
しかし、しっかり楽しんだにもかかわらず感じる一抹の物足りなさ。実は同じような物足りなさというのを『亡国のイージス』の読後にも感じて、そのせいなのか(作風は違うけれど)作家としての立ち位置は福井晴敏に似ているような気がしました。つまりサンプ…
想像していた以上にちょっと子供っぽかった(特に1巻あたり)。ただ噂のカジノシーンはさすがに読ませる。(007の『カジノ・ロワイヤル』もこれぐらい緻密な駆け引きの描写だったらよかったのにね、と思ったことでしたよ。)SFというより、なんとなく…
エルモア・レナード原作にハズレなし。映画化作品がこれだけ粒ぞろいな作家も珍しいのではないか。最近のものでは『ビッグ・バウンス』もよかった。 ところでトーンも音楽も『アウト・オブ・サイト』(こちらも最近再見)はかなりこの映画に似てた。製作がソ…