2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

スペシャリストの帽子(ケリー・リンク)

すごく引き出しが多い人である。 どの短篇もスタイルが違い、なおかつ高水準。わかったような、わからないような抽象的な物語が多いのだが、しかし何だか惹かれるものがある。ただ、表題作である「スペシャリストの帽子」や「カーネーション、リリー、リリー…

サンドウィッチ

村上春樹の小説に登場する食べ物は、シンプルなのにすごくおいしそうである。とりわけサンドイッチは。(表題は気取り気味に、何となく村上風に「サンドウィッチ」にしましたよ。)読者の「一度食べてみたい」という夢想を誘わずにおかない村上サンドイッチ…

野良犬(黒沢明)

三船敏郎が若い!そしてもちろん格好いい。(志村喬も) 「闇市の中、ギラギラした眼で手掛かりを探して彷徨う、三船演じる若い刑事」のシーンや、「野球場での犯人との駆け引き」といった名シーンが言及されることの多いこの映画。クライマックスである「駅…

釣り

最近釣りを始めました。昨日は瀬(離れ小島みたいな磯)に渡ってクロ(グレ、メジナ)狙いのフカセ釣りだったのですが、突然の雨でずぶぬれに。しかも釣果なし。迎えが来るまで帰れないし。 すこし前に糸井重里が釣りはおもしろくて、でもちょっとつらい、だ…

ピアニストを撃て

グーディス読書第2弾。この作品もソリッドなノワールもの。かつてピアニストとして名声を手にしたこともある主人公は、今は場末のバーでしがないピアノ弾きとして糊口をしのいでいる。彼は危険な稼業に手を染めている兄弟から距離を置いて、あえて孤独な人…

プライベート・レッスン 青い体験(クァク・チギュン)

まあ「ほえる犬は噛まない」のヒロイン、ペ・ドゥナが脱ぎ倒しているというところに惹かれて鑑賞したという事実に言い訳はしませんが。(こちらのほうが100倍かわいらしく撮られています。)いくつかの批評サイトで言及されているように、扇情的なタイト…

荒野のストレンジャー(クリント・イーストウッド)

イーストウッドの「恐怖のメロディ」に次ぐ監督第2作。そのせいか一筋縄ではいかない西部劇になっている。以前逮捕した無法者が刑期を終え、復讐に戻ってくることを戦々恐々としている小さな町に素性の知れないガンマンがやってくる。腕前を見込んで、市長…

狼は天使の匂い(デイヴィッド・グーディス)

これだけのボリュームで濃密な物語を織り上げる手腕に感心。最近の必ず上下巻にならずにはすまない(日本版でのこと)ベストセラーリスト系の作家には見習っていただきたいものだ。全くもって無駄のない、一部の隙もない研ぎ澄まされた文章。ステレオタイプ…

ヴァン・ヘルシング(スティーブン・ソマーズ)

夏の大作としては必要十分。アクションの組み立てがしっかりしている。話は駆け足だけど、まあ娯楽作品だから複雑にする必要はないし。一番関心したのはドラキュラ城での高低差を活かした落下アクションの浮遊感。夢に出てくるような不思議な感じ。しかし今…

マッチスティック・メン(リドリー・スコット)

※ネタバレします。 リドリー・スコットという監督は、ハリウッドの(といっても英国人だけど)なかにあっても、割りと作家性の強い作品を撮る人だという認識が初期作品においてはあったと思う。トレードマークはスモークと逆光、と揶揄を込めてそのスタイル…

どうして僕はこんなところに(ブルース・チャトウィン)

僕は機内誌を読むのが大好きである。正確には「翼の王国」を読むのが好きなのだけど(JALの方のやつは今ひとつ・・・)。気が利いた小話系のショートストーリーや、写真が主体の旅行記など、サービスのコーヒー片手に読んでいると「飛行機に乗ってる感」…