シン・エヴァンゲリオン劇場版(庵野秀明)

 アマゾンプライムで再見。字幕付きで見たのだけど、しらふじゃ聞いてられない思わせぶりなセリフとか、もうわざとやってるとしか思えない。あと第三村関係は細田作品的な匂いを感じて実は苦手だった。(宮崎駿風だったら飲み込めたと思う。)

 それとやっぱりゲンドウと同じ世代なのに息子の彼女、というマリの存在って手塚治虫のSF的倒錯を感じるな…(むずむずする。でもそこが好き。)

 「無駄な人間なんていない」というメッセージは本当によかったと思いました。

バトルフロント(ゲイリー・フレダー)

 ステイサム映画には、無茶苦茶期待しなければ面白く観られる「ほどよい作品」と、そんなに期待してなかったのに「実際観たらすごく面白い作品」があると思うけど、前者だったかな。スタローンの脚本はタイトなつくりでよかったですね。しかし邦題は意味が正反対では?

☆☆☆

王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件(ツイ・ハーク)

 タイトルの情報量が多すぎて何となく見てなかったけど、すごく面白かった。そういえばワイヤーアクションってこんな感じだったよな、と思い出しました。思いついたアクションをライブで実現する無茶さ加減がいい!(CGでは出せない味わいがあるのです。)

 犯罪の動機と方法は理にかなっているとは言い難いのだけど、史実の枠組みの中での飛躍があって楽しかったですね。

 あと、ツイ・ハーク作品はディテールが乱暴なところがあったけど(まあ香港映画全般の勢い重視なつくりということですが)、今作は美術も良かったと思います。

☆☆☆1/2

ブックスマート(オリヴィア・ワイルド)

 最高にチャーミングな映画でした。

 嫌われることを恐れるあまり、先に距離を置いてしまえば傷つかなくて済む、と思いなして卒業前日まできちゃったけど、思い切って「飛んで」みたら実はみんないい奴らだった、という優しいお話。悪人が一人もいない※1という物語のつくりが新鮮だったし、「ギャフンと言わせてすっきりするという安易なカタルシスを求めない」という明確な意思をもって作り上げた監督が素晴らしいと思いました。

ウィル・フェレルがプロデューサーっていうあたりが分かってるな、と思う。

・ニックは誰に対しても「もてなし上手」でそれ故誰からも好かれていたのだ、とわかるのが、苦くも大人になる瞬間なのでしょう。

・僕が一番好きだったのはジャレッドで、とんでもないお金持ちの家庭なんだけど、どこか振る舞いが奇矯で、ちょっと距離を置こうかな…ってなってしまう感じ。しかし本当は誰より純真で真っすぐな青年なんですよね。頬っぺたが赤いのも相まって、セリフのいちいちに泣きそうになりました。

・作品の核になる部分が、なんだかイーサン・ケイニンの小説みたいだなと感じて。

・そして「また会おうな!」と交わした言葉は本気だったのに、そういう仲間とも2度と会わないこともあるのだろうと考えると切なくなりますね。

☆☆☆☆1/2

※ 初めて見る人ばかりなのに、どの役者さんも一流感があるのがすごかった。撮り方もあると思うけれど、キャスティングの勝利かな。

※1 だから「殺人犯」という落とし方が唯一残念だったんですよね。

バッドボーイズ フォー・ライフ(アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー)

 いろいろ設定が無茶だけど、ベイっぽさはありました。こういうのはもういいかな…(って1作目の時から思ってたような気もするけど。)

☆☆☆

拾った女(チャールズ・ウィルフォード)

 正調ノワールかと思ったら意外と定石を脱臼する展開が多くて、主人公の転落をなすすべもなく見守るしかないという「破滅もの」という印象でした(語りに仕掛けのある主流文学でしょうか)。正直苦手な分野だったのですが(読み進むのが辛い)、そういうことか…とは思いましたね。

 結末含めサンフランシスコが舞台だから成立した話だと思います。

☆☆☆