ジェミニマン(アン・リー)

 せっかくの僕が偏愛するデイヴィッド・ベニオフによる脚本だったけれど、擁護できない穴だらけの内容でした…なまじCGの出来がよいせいで、クローンをわざわざ大人まで育てるのって迂遠すぎるのでは?どこかから適正の高い人をリクルートしてきた方が早かったのでは?ということが目立ってしまう。(そもそもは、同じ顔の人が戦ったら面白いよね?という「見世物としての映画」の側面からの要請だと思うけど…)

 アン・リーって時々どうしてこんな感じになっちゃったのかな、という作品を撮りますよね。素朴に不思議。

☆☆☆

ザ・ハント(クレイグ・ゾベル)

 訳も分からず集められた人々が顔の見えない敵に向かってサバイバルしていく、というのは娯楽作品の一つの型としてあると思うけど、先が読めないし色々工夫があって面白かったです。こうであってほしかった『プレデターズ』という感じかな。

☆☆☆1/2

※ところで主人公の人『トゥモロー・ウォー』の奥さんだったんですね。気づかなかった!そして僕もイーストウッドを意識してるのだなと思いました。バックグラウンドが見えない裁きを下す者(ストレンジャー)という造形も。

スーパーマン(リチャード・ドナー)

 多分リチャード・ドナー追悼企画だったんじゃないかと思うけど、アマゾンにアップされていたのですごく久しぶりに見ました。スモールヴィルの雄大な景色など、そういえば昔の大作ってこんな感じだったよな、と堂々たる風格でグッとくる。思うに現在の大作映画ってロケより電子紙芝居だから、レイアウトは整っていても実物の迫力がないんですよね。

 ところで、初めて映画館で観たときは冒頭のゾッドの追放シーンなどが本気で怖くて、今改めて観るとヘリのトラブルや刑事が地下鉄で殺されるなど、事件が起こる予兆の演出の呼吸が完全に『オーメン』だったからそりゃ子どもは怖いよなと思いました。

☆☆☆☆

イコライザー2(アントワーン・フークワ)

 想像してた以上に面白かった。残念な拡大再生産かと思っていたので。もしかしたら1作目より好きかもしれない。嵐の中での決闘が新鮮(プロダクションデザインがすごい)。

 ただの殺し屋で終わるか否かは本を読んでいるかどうかで決まるという話だと思いました。

☆☆☆☆

※90年代の漫画によく登場してたタクティカル豆知識「粉塵爆発」がど真ん中で使われてたのが個人的にヒットだったなあ。

ギルティ(グスタフ・モーラー)

 ソリッドシチュエーション・サスペンスと呼ばれる分野の映画だと思うけれど、「ワンアイディアでどこまでいけるか」とか「ツイストが」みたいな観点よりも、むしろ主人公の内面にフォーカスした作品だったんですね。

 ただ、評判に引っ張られて観たので、健闘しているなとは感じたものの、「心に響く」とまではいかなかったのが正直なところでした。

☆☆☆

※主人公が指にけがをしているのは意図があったんでしょうか?

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(ジョージ・A・ロメロ)

 『ゾンビ』『死霊のえじき』は見ていたのだけど、ようやく見ました。(これまでも何度かトライしてたんだけど、家に入ってからの2人の会話の場面で寝ちゃってた…。)所謂ゾンビものの定型とされる要素は出そろっているし、シンプルな作品が持つ力強さがあるなと思いました。それとゾンビが意外と速く動くのが怖かった。

☆☆☆1/2

幸福路のチー(ソン・シンイン)

 台湾のこと、分かってるつもりで全然分かってなかったというか、わりと最近に至るまで激動だったんですね。それと内容そのものが結構きつかったです。ほっこりするような作品ではなかったんだな。

☆☆☆