G.I.ジョー バック2リベンジ(ジョン・M・チュウ)

 スネークアイズの雪山戦闘シーンだけは少なくとも面白いと思う。けれどもなんだか『RED2』と『ニンジャ・アサシン』の内容と記憶がごっちゃになってしまうんですよね。(明日はもう見分けがつかないと思う。)

☆☆☆

※『クレイジー・リッチ』の監督だったのか!

ザ・フォーリナー/復讐者(マーティン・キャンベル)

 ジャッキー映画ということで侮っているところがなかったといえば嘘になるけれど、予想外に見応えがありました。マーティン・キャンベルはこういう陰惨な話(『復讐捜査線』とか)だと演出が光る監督ですね。(若干ネタバレかもしれません。)

 ジャッキー映画は、どんなに激しい戦いであっても「(基本的に)敵も味方も死なない」というある種の遊戯性が作り手と観客に共有されているから安心して観ていられるけど、それが現実世界だったらどうなるか?が描かれていて、そこも面白かったです(結論:超痛いし、治らない)。

 ところで、これはあえてそういう構造なのかもしれませんが、主人公のクァンはあくまで復讐者としてその目的を果たすだけで、「国家とテロ活動」という物語の枠組みと顛末については、ほとんど関与しないんですよね。一般的な物語だと、主人公の起こした行動が結果として物語を結末に導くところ、主人公がいなくても話は落ち着くところに落ち着いたのではないか、ということになっている。それがクァンの寄る辺なさを強調する意図だったのかは分かりませんが。(個人的には悪くなかったと思います。)

 物語は、押井監督が好きそうな内紛もの、冷えびえとしたポリティカルサスペンスで(ちょっとボーンシリーズっぽくもある)、そこも好みだったのですが、自分としても意外だったのは、見終わった後にとある登場人物について考えて引き摺ってしまったこと。

 実行犯である過激派グループに女性メンバーがいて、彼女はいわゆるハニートラップ要員なんだけど、最後に特殊部隊によって害獣のように「処理」される。罪もない一般人(女子供含む)を平気で巻き込んだことの然るべき報いではありますが、どういう人生を歩んで、あそこまで思想が先鋭化してしまったのか?と思ってしまって。一般人を犠牲にすることに見合う大義など存在しないということは分かりそうなものだけど…

☆☆☆1/2

バベットの晩餐会(ガブリエル・アクセル)

 僕の中で3大ミニシアター系映画のひとつだったのだけど(あとの2つは『バグダッド・カフェ』と『ベルリン・天使の詩』)今回初めて見ました。内容は全て知っていたので見たような気になっていたのですが、実際に見てよかったです。

 シンプルな話で、これといって事件が起こる訳ではないのだけど、35分目くらいまでのセットアップが最後に至ってパズルのピースが揃うようにバシッと決まる感じがすごかったですね。「自分の才能を発揮する」ということの人間の根源的、本能的な欲求の発露を描いているという点では、『ドラゴン・タトゥーの女』と同じ話ともいえるけど、物語上、その才能を正しく評価できる存在が必要になるところ、それが人生とは何ぞやというテーマと収斂する「将軍」として最後に配置されるのが、上手いなと感心しました。(そして泣けた。)

 晩餐が終わった後に、ひとりコーヒーを啜りながら自身の来し方に思いをはせるバベットのハードボイルドな横顔が素晴らしかったですね。

☆☆☆☆(やっぱり見てみないと分からない)

※将軍の食レポがすごい。ヴーヴ・クリコ。

魔女と暮らせば(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)

 著者の作品はいくつか読んでいるのですが、登場人物が皆弱点を抱えていて(たとえ強大な大魔法使いであっても)、そこが切ない。逆に、悪い人間もただ邪悪なだけじゃないと感じられるというか。人間の卑小な側面にふとした瞬間に子どもながらに気づく描写など、素晴しく冴えている分心に刺さる。(そして自分が幼かった頃も、そういえば大人のそういった言動に意外と敏感だったことを思い出したり。)

 結果、苦い後味になっていて、子ども向けかもしれないけれど大人の鑑賞に堪える小説だと思います。あるいは児童文学だからといってそういう側面を遠慮しない作者の姿勢が、本作を名作足らしめているのかもしれないですね。

☆☆☆1/2

町田くんの世界(石井裕也)

 特異な人物の奇矯な振る舞いによって「我々の思う普通って何だろう?」ということが問い直される、というタイプの映画があると思うのですが、それが若者の恋愛ドラマをドライブしていく点で『バタアシ金魚』を思い出しました。

 ただ、「浅薄な人の振る舞い」があまりに記号的だったり、ゴシップ雑誌記者の造形が平板だったり(大人なんだからもっと清濁合わせ飲む感じだろうし、ナイーブ過ぎだろう…)、という演出上の難点はありました。けれどもメインターゲットであろう若者たちへの善性の称揚、啓蒙が目的だとしたら、それもまたよし!

 最後にものすごく飛躍した展開があるけれど、文字通りプールに着地したところ(とあのカット)で、やっぱり『バタアシ金魚』を意識していたのかなと思いました。

☆☆☆1/2

※『ペイフォワード』や『フォレストガンプ』など連想する作品はいろいろありますよね。

オータム・タイガー(ボブ・ラングレー)

 凡庸な印象と敵を作らないことでCIAの部長となったタリーは、退官直前に東ドイツの大物の亡命の身元引受けに指名され当惑する。事務官一筋の自分に何故?

 時はさかのぼり第二次世界大戦末期、ドイツの情報部将校が極秘作戦のためアメリカの捕虜収容所に潜入したという情報を得て、その目的を探るため、ドイツ兵と偽り接触させる作戦が立案。白羽の矢が立ったのは若き日のタリーだった…

 という物語で、あらすじの通り超面白かったのですが、最後がなあ…主人公に甘いのではないかと思ってしまって。わかってしまえばそれしかないという結末なんだけど、あ、そういう話でしたか…お疲れ様でした。という印象。『北壁の死闘』がめちゃくちゃ面白かったので比較してしまうのもあるのかな。

☆☆☆1/2

サマー・オブ・84(フランソワ・シマールほか)

 オチありきの映画だったな、という印象でした。(それを言ったらどんな映画であれオチありきなんだけど。)

 丁寧な描写の積み重ねはいいのだけど、メリハリがないというか、興味を持続させるための工夫がほしかった。(80年代風、皆さんお好きでしょ?ということだけでは20分くらいしか持たない。)あるいは80分くらいで収めるか…『ターボキッド』が好きだったから期待しすぎたかな。

☆☆☆