未来のミライ(細田守)

 この映画も賛否あったように記憶してるけど、『時かけ』や『サマーウォーズ』など過去作にあったような引っかかりは殆ど感じませんでした。むしろ階段を片足ずつ降りてくるような幼児の仕草や、赤子の手のひらの儚い感じ、雪の結晶!などの演出が素晴らしくて、そういう細部を愛でる作品ではないかと思います。

 くんちゃんが親の言うことも本当は分かってるんだけど、自分の主張も間違ってないはずだからと、ダブルバインドになってワーってなってしまう感じを見ていると、自分の幼少期の情動に不意に引き戻されて。そういう感情の喚起力があるのが素晴らしい。

 作品世界のルールについて納得できない、という批判もあったようですが、大雑把に言ってこの映画は「絵本」なので、それぐらいの大らかさで見た方がいいような気がしました。

☆☆☆☆

※お兄ちゃんが新幹線で赤ちゃんをつい叩いたり、お出かけ前に夫婦でピリピリしたりというよくある光景を見ていると、どこも一緒なのね…あと実家の両親がライトなダウンジャケット着がちというのが、そうそう!となりました。伊賀大介さすが。