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寄生獣(山崎貴)

 およそ望みうる最高の形で映画化されたといっていいのではないでしょうか※1。監督の作品にはこれまで正直いい印象がなかったので、嬉しい予想外でした。以下メモで。
 ・アクションの構成について:パラサイト同士の斬撃の弾き合いなど、一撃の重さやスピード、タイミングがイメージどおりだった(特に市場での「A」戦での周辺オブジェクト破壊演出)。漫画は通常、平面映えする画作りになっているから現実の空間にイコールでは置き換えられないものだけど、「漫画通り!」と感じさせ、なおかつ格好良いというのは、素晴らしい空間構築センス(今回に限っては)だと思う。※2
 ・物語の展開:実はエピソードの並び替えや人物設定に結構手が加えられているのだけど、まるで原作がそうであったかのような澱みない語り口。人物の出し入れも的確でした。一番懸念していたのは「泣かせんかな」の演出だったのだけど、これまでのフィルモグラフィからすると意外なほど「必要十分」を心得た尺の割き方で、そこがよかった。
 ・映画化に時間がかかったことの利点:一番すぐ思いつくのは、もちろんVFXの進歩。邦画でも恥ずかしくない感じの映像化が可能になったのは嬉しい。のですが、それよりキャスティングですね。仮に5年前だと染谷将太東出昌大でGOにはならなかった。今回の成功はキャスティングにあると断じたいくらいなのですが、小栗旬妻夫木聡では(演技スキルの話ではなくて適性として)こうはならなかったと思います。原作の魅力の一つに、岩明均の描線のもつ独特なニュアンス、具体的に言うと無表情に宿る不穏さがあると思うのですが、今回の出演者はまるで原作から抜け出てきたかのようなはまり具合でした。新一のナイーブさと「混じった」後の非人間性の危うさは染谷将太にしか出せなかったと思うし、出番は短いながらも島田の「パラサイトらしさ」は東出昌大のいい意味での茫洋さがあってこそと感じられた。
 ・それと橋本愛演じる村野さんが予想以上によくて、これは彼女が神秘的な美少女「ではなくなった」からこそという気がします。
 つまるところ、端的に言うと、今回の勝因は「余計なことをしなかった」ということに尽きる。このまま後編もこの調子でいってくれたら、と心から願うものですが、予告編をみると若干懸念が過るところも・・・いや信じよう。信じさせてほしい。
☆☆☆☆1/2
※1 心配してる原作ファンこそすぐ行くべきだと思います。観てから後悔しても遅くないですよ。
※2 混じった後の人間離れした体技、はもっさりしていて残念だったので、あの場面だけは海外からプロを招聘してほしかったかな・・・

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