ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(ジェームズ・ガン)

 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の時はいい意味で大人向けと書いたんだけど、こちらはいい意味で子供向けの映画だったと思います。例によってメモ形式で。
・まず、堂々たる大作をジェームズ・ガンが真正面から作りきったという点に驚いた。ハリウッドの凄さって、小品しか手掛けたことのない監督でもちゃんと大作を撮れるようなシステムがしっかりできているところにもありますよね(先日の『ゴジラ』しかり)。
・宇宙刑務所の洗浄エリアの毒々しいオレンジのような赤のようなシャワーには、トロマテイストを感じた。『スリザー』にもあったけど、ガンの一貫した姿勢には清々しささえ感じる。
・遺伝子改造アライグマのロケットが、劇中「ネズミ」とか「ハムスター」などと言われるのは、ドラえもんがタヌキと呼ばれる的なあれで、ベタだけど面白かった。最初から主人公に協力するつもりなのに素直になれなくて、手を挙げるのはいつも最後というのもハン・ソロ的で可愛らしい。
・木人グルートの「アイ・アム・グルート」としか喋れなくて、基本寡黙という設定が効いている。相棒のロケットにはそれをからかわれがちだけど(でも100%理解しているのも彼だけ)、恐らく彼は宇宙にごくわずかしかいない種族の末裔であって、グルートという言葉には誇りや特別な想いがあるのだけど、だからこそ「ウィー・アー・グルート」と発されるシーンには胸を打たれました。演じてるヴィン・ディーゼルも見事だったと思います。あとCGなのに「目の演技がすごい」というのがすごい。
・それなりに場数は踏んでいるけど、基本そこそこの実力・・・と見せかけて、実は本当に本気を出したら相当すごい!という場面が劇中いくつか用意されているのですが、そこに至る展開にメリハリがあるので素晴らしくカタルシスがありました。「かつて見たことのないアクション」というのは正直なかったけれど、演出や呼吸でこれだけ盛り上がるというのは結構な手腕です。派手な場面がつるべ打ちなのに、何故か一向にときめかない、というのは最近の大規模アクション映画にはよくある現象で、あれは要は見せ方に技術がないからなのだと改めて思った次第。※1
・演出という点では、各キャラクターのバックグラウンドというのは特に語られなくて、セリフの端々から読み取ってくれというスタンスなんだけど、そこが心地いい。物語の進行とともにキャラクター同士の関係が変化していくのも、セリフから端的に描かれる。そういう点でノヴァ軍指揮官とチームとのやりとりのグッとくることといったら・・・
・悪役がちゃんと強そうで怖いというのも重要ですね。ハンマー…
・結局、観客の理解力を信用するというのは、自身の演出力に自信があるから、というのとイコールな訳で。どこまでセリフや場面を剪定したら最も効果的に伝わるのか、時にはバッサリカットした方がすっと届くこともある。その案配のセンスこそが演出であって。最近の説明(セリフ)過多な邦画娯楽作は参照した方がいいのでは。※2
・ことしは『ウィンターソルジャー』で決まりだと思っていたけど、マーベル、豊作すぎる。これはよい夏休み映画でした。
☆☆☆☆☆
※1 例えばアクションにおける編集の重要性について、ジョン・バダムの『監督のリーダーシップ術』の中に自身の『ブルーサンダー』を引いて具体的に書かれた箇所があって、膝を打つことしきりでした(上手く手に汗握るシーンが撮れたからといって、欲張ってただ繋いだだけでは一向に盛り上がらない)。マイケル・ベイさんも読んだ方がいいと思います。
※2 脛に傷持つならず者たちが、心ならずも成り行きから団結して、結果大きな目的を果たす、という物語から『ワンピース』が引き合いにだされていて、一緒にしてくれるなという反発もあったりするようですが、最近の世代に対しての例えとしては割と的確ではなかろうか。むしろ僕が思ったのは原作のよさを上手く落とし込めていない映画版『ワンピース』の勿体なさで、長大な原作からどういうエッセンスを抽出し、再構成したらよいか、マーベル映画から学べる点は多いと思う。