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戦場のメリークリスマス(大島渚)

映画

 恥ずかしながら、DVDがレンタル化されて今回初めてみたのですが、たいへん面白かった。いいのは音楽だけ、という感想を当時から聞いていたから、もしかして本当にそういう作品なのではと危惧していたけど※1、杞憂でした。ちなみに僕の記憶の中では『地獄の黙示録』と同じフォルダに収められていたのですが、今回ちゃんと観た後でもその印象は変わることがありませんでした。不思議なことに、やはり80年代の映画※2というのは洋の東西は違えども同じ匂いがどこかしらするものみたい。
 ところで感想をネットで読んでいたら、(映画のテーマの重要な部分を負っていると思しき)ビートたけし演じるハラ軍曹に関して、「状況に規定される人間の卑小さを象徴している」という意見がある一方で、「極限状況下でも結びうる人間同士の心の交流の可能性を描いている」という正反対の意見もあって、どちらもその根拠を映画の最後の有名な「メリークリスマス!Mr.ローレンス」というハラのセリフに置いているのが興味深かった。(加えていえば、ローレンスのリアクションではなく、ハラの笑顔のストップモーションで締めているところが、多様な解釈の余地を残していてよかったと思う。)そしてどちらも正解と思える複雑さをはらんでいるのが、この作品の素晴らしさであるような気がしました。
☆☆☆1/2
※1 『地獄の黙示録』は正確には79年作品ですが。
※2 ジェレミー・トーマス案件なので、エキゾチズム狙いのあざとさが否めない感はあります。