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ダイナミックフィギュア(三島浩司)

 異星人の侵略を境にして決定的にその様相を変えた世界情勢。日本いや地球の命運は巨大人型兵器を駆る3人の若者たちに託された!という筋書きこそエヴァを思わせるものですが、作品のメンタリティは押井守風(映画版パトレイバーとかケルベロスシリーズとか)、語り口は福井晴敏。つまりミリタリーSFにしてポリティカル・スリラーといった感じの。
 ただ、思わせぶりに仄めかされるいくつかの「衝撃の真実」は、いざ蓋を開けてみるとその煽りに見合わない肩すかしな内容であるし、志向する世界観の根っこが押井風(結末とか特に)のペシミスティックなものなのに、大仰なセリフと熱血で押しまくる福井晴敏風のストーリーテリングなものだから、水と油でうまく特性を接続できてない。というか作者の志が実際のスキルに見合ってなくて空回りしてる印象。
 ただ嫌いなのかと言えばそうでもなくて、この歪さ加減がチャームポイントのような気もして。この感じどこかで・・・と思い出したのが映画の『キャシャーン』。あの作品も下手さ加減が一種トラウマになるようなインパクトだったけど、今となっては(映画としては割と普通になってた)『ゴエモン』より記憶に残ってる。そういう種類の作品の「あり方」というのも、まあありなのではないかしら。
 さらにフォローしておくと、なにが原因でこういう在り様になったのか?その事件の後の「日常」はどういうものなのか?という異世界案内の描写が読ませどころという箱庭タイプの作品なので、その意味ではまさにSF。理にかなった説明でスッキリ世界の成り立ちを解き明かしてくれたらもっと良かったんですけどね。
☆☆☆