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るろうに剣心(大友啓史)

 まさしく世間一般で言われている(印象として)のと同じ感想を持ちました。曰く「アクションは頑張っているけど、ドラマが…」。
・確かにアクションは近年の邦画としてはかなり上手くいっていた印象。とくに外印(綾野剛)との近接戦闘は『アジョシ』に比肩するキレの良さだったし、ラスボスたる鵜堂刃衛戦は吉川晃司の堂々たる悪役ぶりもあってクライマックスに相応しい見応えがありました。※
・その一方でドラマ部分の演出は間延びしがちで。それぞれのシーンをあと15%圧縮できたらもっと好印象だったのに…こういう映画だったら1時間50分で収めてほしい気がします。演出家の生理として「登場人物の奥行きを」みたいな欲も出てくるのかもしれないけれど、何といってもマンガの映画化なのだから思い切って(いい意味で)ステレオタイプの強度に委ねて、キャラクターのバックグラウンドは観客の想像に任せる余地があってもいいと思う。
・とくに演出の拙さを感じたのは、剣心の左頬の傷に関わるエピソード。暗殺対象の若侍が実は近々結婚する予定があって、剣心が自身の暗殺の大義に疑問を感じる、という展開なのですが、いちいち若侍が、拙者はここで死ぬわけにはまいらぬ!と「口に出して」何度も立ち上がるんですね。正直くどい。対案:自分のヒットマンの技量として確かに仕留めたはずなのに必死に立ち上がる若侍、しかし絶命。翌日、釈然としない思いで戻った現場で目にしたのは、取り縋って泣く娘の姿と「可哀想に、来月は祝言だったっていうのに…」という言葉だった。/もうこれくらいで観客にも十分わかると思うのだけど。というように、これは一例ですが、時間をかけるべきパートとコンパクトな語りというバランスにおいて、メリハリに欠けた印象を受けました。
・とはいえ全体としてエンターテインメント作品として健闘していたのは事実。このヒットなら続編は確実だと思うので、フィードバックを含めてどこまで伸びるかまた観てみたい。
☆☆☆1/2
※ただ、演技の難易度の点でいうと、佐藤健の殺陣以上に「わー猫ちゃんだ、にゃーにゃー(大意)」というセリフを求められた武井咲の方がハードル高かったよね・・・