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ダークナイト ライジング(クリストファー・ノーラン)

 見事に完結させていたと思います。以下、感想メモ。(ネタバレありなので未見の方はご覧にならないでください。)
・噂されていた以上に『パトレイバー2』色が強かった。テロリスト集団と地下に潜った国家組織の暗闘という構図もそうだけど、橋を落としてゴッサムシティを陸の孤島化させたり、ミサイルの描く軌道だったりというビジュアル面でも直接的な影響が見て取れる。
・しかしそれも含めて、冒頭の博士強奪シークエンスにせよ、「無茶と言われても観たい画が撮りたいんだ!」という気迫と、実際に画にしてしまう膂力には感服。しかも極力CGを使ってないし。
・リアル路線コスチュームでキャットウーマンネコミミをゴーグルに落とし込んだデザインセンスに10点差し上げる。
・でも女性をきれいに撮ることにはやはり興味がないようで。
ミランダとベッドを共にしたその足で、セリーナに会いに行くなんて…「女の子大好きですが、何か?」っていうのは、あれはポーズじゃなかったのかよ…
・ベインがぶち上げる「市民軍」というコンセプトはOccupy Wall Streetをある程度踏まえていると感じたのですが、「金持ち憎しで十把一絡げにするのは乱暴じゃないの?」という相対化の視点を示す一方で、規則と命令の名のもとに橋を爆破してしまう体制側の姿勢も提示するというさらなる相対化。相対化のマトリョーシカ。この辺りは『ダークナイト』でも顕著だったノーラン節ですね。(でも一部で持ち上げられているほどには深遠な意図はないと思うのだけど。)
・ところでディストピアもののテイストもあるので、その方面がお好みの向きにもお薦めですね。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるブレイク刑事。背の高くない男の子が獅子奮迅という画を見ていると、ああなるほど、監督はロビンがやりたかったのだな、と得心。
・やはり「殺さず主義」が結果的により多くの犠牲を生んでいる側面も否定できない、完全なる自己満足にしか見えないのがなんとも・・・「まず自分の主義を守れずして、なにが正義か」という話なのは分かるのだけど。※1
・というか、3作通じて敵味方問わず「主義に殉ずることの幸福と残酷」がテーマだったということですよね。フォーリー副本部長の顛末がそれを補強しているし。(しかし心が弱い人を演じさせるとマシュー・モディーンは上手いねえ。)
・そ、そんなに激しくしたらゴードン本部長が死んじゃう・・・
・という流れから「君は・・・ウェイン!?」って、え、今までマジで気づいてなかったんすか?それはないよー
パトレイバーからまさかの鉄腕アトム最終回コンボとは・・・しかしアレが登場するたびに書いているのだけど、やっぱりアメリカは核兵器を甘く見過ぎだと思う。あの距離じゃただじゃすまないよ。
・「本名の方が素敵ですよ、ロビンさん」というセリフ、あー言わせてしまうのか。それは言わずもがなだったというか、言わぬが花だったというか。でも言わせちゃうのがノーランなのかな。※2
・結末の解釈ですが、そして伝説へ・・・ということじゃなくて、薄れゆくウェインの意識の中で「あり得たかもしれない未来」を一瞬想起したということかな、とも思われて。※3
・繰り返しになりますが、きれいな完結編だったと思います。『ダークナイト』でのトゥーフェイスのくだり丸々とか、『インセプション』の雪山パートとか、テンションの切れた弛緩の時間帯がこれまでの監督作品には感じられたのだけど、緩急の付け方を自分のものにしたのか、フィルモグラフィ上一番の長尺にも関わらずダレることなく最後まで観られました。その点も良かったです。
☆☆☆☆
※1 キャットウーマン参上!射殺上等!みたいなシーンもあるだけに。
※2 実は、俺だけが気づいたみたいな勢いで、鬼の首を取ったように書き立てるつもりだったのだけど・・・
※3 あのカフェの白日夢感。その件については、『インセプション』の時のように、サー・マイケル・ケインが一席ぶってくれるのではないかと期待。