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エリート・スクワッド(ジョゼ・パジーリャ)

 各所で話題になっていましたが、なるほどベルリン金熊ウィナーというのも納得の傑作でした。
 ブラジルのファベーラを舞台にしたドキュメンタリータッチのルックと語り、という点ですぐに想起されるのはやはり『シティ・オブ・ゴッド』ですが、脚本が同じ人だったんですね。荒々しい物語と過激な暴力描写のため観ているときは気づかなかったけれど、それ以外にも巧いな、と思わされるのは先行する名画の要素を実に自然な形で自家薬篭中のものにしていること。例えば特殊部隊BOPEの隊員選抜キャンプの容赦なさは、怖いもの見たさで目が離せない「仮想地獄めぐり」という点で『フルメタル・ジャケット』そのものだし、激務でノイローゼになる特殊部隊隊長は『バートン・フィンク』の様だし、文人肌の好青年がやがて周囲の環境によって否応なく暴力装置と化していくメインストーリーは『ゴッドファーザー』的であるし。また血に飢えたラテンの夜を黄色や赤や青といった過激なライティングで映し出すところは『プレデター2』みたい(あ、これは名画ではないか…僕は大好きだけど)。
 愛する女性のためにしたことが、やがて親友の命を奪うという形で仇なす、という陰惨な物語をなぞっていると、どうしても主人公のひとりであるマチアスに肩入れしたくなるのだけれど、その一方で、ある一線を踏み越えさせてしまうところまで彼を押し流してしまった「組織」というものの本質的に持つ無機質な残酷さが恐ろしいし、さらに言えばある強固な共同体に身を委ねてしまうことの「心地よさ」が理解できる気がするだけに一層怖かったです。
☆☆☆☆
※ところでパジーリャ監督は『ロボコップ』リブートに抜擢されていることでも話題ですが、あの作品はリアル戦中派の屈折したユーモアがあってこそだと思っているので、些か今回は生真面目になりすぎるのでは?と危惧するものですが、いずれにせよ俄然期待が高まりました!