シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム(ガイ・リッチー)

 相変わらずガイ・リッチーは快調。以下メモです。
・洞察力で格闘すら先読み、というのは前作でも書いたけどジョジョっぽい。
・「ワトソンはアフガン帰りの名スナイパー」という前作の設定をちゃんと今回も怠らないのが、サービス精神において信頼できます。
・だから今頃まだパルクールとかねじ込んできても全然OKな気分になるね。
・上記もですが、モリアーティ初登場場面で、合図一つでレストランから(実は仕込みだった)全ての客が退出するというケレン味たっぷりのシーンがあるのだけど、これから相手にする悪役の恐ろしさを観客に画で一発で分からせる場面を序盤でちゃんと準備しているところに、娯楽作品の監督としてのスキルの確かさを感じました。ガイ・リッチーってやっぱり上手いと思うんだけどなあ・・・※1
・メインテーマにグラナダTV版のテーマの雰囲気がほのかに漂ってる気がするのだけど・・・気のせいかしら?
・音楽の面ではマヌーシュ・スイングの要素が入っていて、それはもちろんジプシー村が重要な舞台となるからなんだけど、フィルモグラフィ的には『スナッチ』を連想するし、実はモリアーティ役のジャレッド・ハリス主演の『Bモンキー』(知られざる佳作です。お薦め!)のキーとなる音楽としてもジャンゴ・ラインハルトが使われていました。巡り巡って繋がってくる要素があるから映画は面白いですね。
・相変わらずファッションが実に伊達でステキ。服だけでも見に行きたい。※2
・モリアーティにライヘンバッハといえば・・・という展開がちゃんとあるのが、これまたサービス精神において信頼できます。
・前作には曲がりなりにもあった「謎解き」という要素がなくて、単なる悪者との対決になってしまっているのが若干残念でした。アナキストが出てきたり、国際謀略ものということでは、むしろジョゼフ・コンラッドの小説っぽかったかな?
☆☆☆1/2
※1 昔のログを辿ると、今回の映画化の不安要因は監督とか書いてた・・・
※2 ジェニー・ビーヴァンでした。ジェームズ・アイヴォリーの諸作をはじめ、英国トラディショナルを得意としている人みたいですね(『英国王のスピーチ』も)。他の作品では派手な印象はないので、当たり前だけどやっぱり作風に合わせてるんでしょうね。