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復讐捜査線(マーティン・キャンベル)

 メル・ギブソンを久しく見かけなかったけれども、この映画ではいい枯れ具合。と、それはさておき、ほとんど今の日本が置かれている状況のメタファーみたいな話で、その骨太なテーマにしばし呆然の体でした。タイトルやメル・ギブソンのフィルモグラフィから想像すると、アクション盛りだくさんでバッタバッタと悪人をなぎ倒す、みたいなイメージだったのですが、実際観てみると、抑制のきいた語り口で時間をかけてじっくり人物を描きだす非常にストイックな作品でした。娘の敵を討つ!怒りを溜めにためた末に主人公が出した結論は?
 人生の来し方行く末に思いを馳せるようになった世代が主人公というのも味わいがあります。しかしそれ以上に、レイ・ウィンストン演じる「掃除屋」が印象深かった。政府がらみのウェットワークに長年従事してきて、多少の汚れた事情には動じない男。ところが立場は違えども「自分の信念にのみ忠実に生きる」主人公に共感を覚え、常になく猶予を与えてしまう。しかし自らの命も幾ばくも無いと知った時、そして・・・というのが苦みのある展開でよかった。
 と書くと、眉間にシワが寄りっぱなしの息苦しい映画と思われるかもしれませんが、気が利いたダイアローグやどんなシリアスな状況に置かれてもジンジャーエールを所望する主人公など、随所にユーモアも散りばめられ、これはいい脚本だなと感心させられる作品でもあります。実は1985年の英国TVミニシリーズが原作なのですが※(本当にイギリスのドラマは侮れない・・・)、オリジナルも観てみたくなるような魅力のある映画でした。
☆☆☆☆
※掃除屋が英国人という設定はそこを踏まえてるのかな?ちなみにオリジナルの監督もマーティン・キャンベルです。