ファースター 怒りの銃弾(ジョージ・ティルマンJr.)

 すごく話題になったという訳ではないけれど、良い評判を耳にしていたのでDVD鑑賞。まあ完全にステレオタイプの登場人物しか出てこないし、物語も類型的といえばそうなんだけど、短い尺と無駄が一ミリもない筋運びという点でだけでも好評価。
 とにかく各登場人物のキャラクターがくっきり立っているし、不必要な書き込みは全くない、必然性のない要素は持ち込まないというだけでこれだけ面白くなるという好例だと思いました。特に物語上のライバルとして設定されている「殺し屋」は、幼いころ足の障害を克服した経験が高じて、ITや登山や超絶ヨガなど、自らにほとんどエクストリームといっていいほど高いハードルを課してしまう克服マニアになってしまったという人なのだけど(その一環として「趣味の殺し屋」を営業している)、足に残る傷を映すだけで彼の来歴を簡潔に語ってしまうところなど、実に手際が良かったと思います。そうそう、ドウェイン・ジョンソンは繊細な演技も意外とできる人ですよね。
 類型的とは書きましたが、単純な勧善懲悪ではない苦い後味の結末も余韻があって良かった。いまどき結末にThe Endって出る映画、というのが何よりも作品のことを雄弁に語っているような気がします。※
☆☆☆☆
※完全に蛇足な補足ですが、そこも含めて『続・夕日のガンマン』オマージュだったという可能性も否定できないな・・・