セクシー・キラー リベンジ・オブ・ザ・デッド(ミゲル・マルティ)

 女シリアルキラー無宿といった趣の映画。導入の『スクリーム』のクオリティの低いパロディで些か不安になるけれど、次いで冒頭で『タクシー・ドライバー』の例の鏡のシーンのパロディまで畳み掛けてくるので、そこまでやってくれるなら或いは、と思ったのですが…
 医学生バーバラは連続快楽殺人鬼。自分の道を貫き通し、立ちはだかるものは皆殺し、のはずだったのだが、そこに現れたのは同じ「趣味」に没頭しているらしきオタク青年だった・・・
 とにかく主人公のバーバラの突き抜けたマサカーが凄い。それだけならよくあるスパニッシュBホラーなんだけど、そこに『アンフォゲタブル』的擬似SFミステリが合流して、最後はゾンビスプラッタで大爆発!という何ともてんこ盛りな内容でした。オモシロ至上主義で突っ走れるところまで突っ走る、『ブレインデッド』並とまでいうと褒めすぎだけど、なかなかの快作。結末の達観、無常観的な境地もそれまでの狂騒的なトーンからの転調で味わい深い。
 ただ「悪徳刑事と利害で殺し合い」みたいな展開を匂わせてその方面には発展しないのがもったいない(あれは何稿目かの名残かね)のと、バーバラはもっと学生風の女優さんのほうが(ちょっとトウが)、というのが残念。全体にクオリティが甘いところがあるので☆は・・・
☆☆☆1/2