アジョシ(イ・ジョンボム)

 なんだか「ぼくのかんがえた96時間(もしくはレオン)」みたいな映画でした。(想像するに当初の構想は主人公60歳だったそうだから、本当にそうだったのではなかろうか。)話がベタなのは全然OKだけど、ディテール雑すぎ。
 ともあれ、こういうタイプの映画だったら『96時間』的に一気呵成にエンディングまで突っ走るか、『レオン』みたいに最後の最後でフラストレーションを爆発させるかどちらかだと思うのだけど、どっちつかずな印象で。刑事パートがストーリーのリズムを乱しているし、監督が面白い(コメディ的な意味で)と思って入れているのであろうエピソード(や変顔)も概ね外していたように思います。ああいうのは巧まざる演出、みたいに観客に見えないと…※
 それと、ソミを巡る世界をもっと童話的悪夢として描いてくれたら盛り上がった気がします(その点、生々しい「大人の世界」と半径5mくらいで生きている「子供の世界」の橋渡しがスムーズだったところも含めて『ワイルド・バレット』は上手かったと思う)。期待しすぎたのかもしれませんが、万事中途半端な感じが否めませんでした。
☆☆☆(クライマックスのナイフバトルだけ☆4つ)
ポン・ジュノの監督術がとりわけ際立っているのはその点なのだと改めて思いました。ウォンビンも出てるし。