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悪の経典(貴志祐介)

 「暗黒!鈴木先生」と別タイトルを付けたくなるようなお話だったですよね。(まあそういう要素は上巻だけだったのですが。)ヘッケル&ジャッケルみたいなカラスのコンビ、フギンとムニンとか、同じ「捕食者」のニオイがする男、一つの狩場に2匹はいらぬ!とか、盛り上がりそうな要素を出しておきながら尻すぼみだった印象なのは否めない。そもそも狡猾にして冷静、残虐にして周到なIQ抜群の主人公、という設定なのにちょっと場当たり的な行動が多すぎるのは如何なものか?(というかアメリカのくだり、安すぎるよ・・・)※1。もうちょっと知恵くらべの要素は充実させてほしかったですね。書き下ろしじゃなかったから辻褄あわせで汲々になってしまったのかと邪推したり・・・ただ一気呵成に読ませられたのも確かで、ページターナーとしてはよくできてる作品だとは思います。
☆☆☆
※1この肩透かしな感じ、いつかどこかで・・・→映画の『交渉人』でした。
※2下巻の展開は典型的な悪夢のシチュエーションではなかろうか?『新世界より』の空中滑空シーンにも感じたのだけれど、結構作者のイメージソースは「夢」なんじゃないかなあ。