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ラ・ジュテ(クリス・マルケル)

 『12モンキーズ』好きということに関しては人後に落ちないことをもって自負している私ですが、元ネタであるこの映画は見逃してた(VHSソフトのとき)・・・それがDVD再発でレンタルになっていることを先日知って、さっそく観てみました。『12モンキーズ』は実にギリアム的な要素で埋め尽くされた映画だなと当時思ったものだけど、この作品がまあ、実に『12』そのもので。リメイク企画をギリアムに持っていった人は本当に慧眼だと思います。以下感想メモ。
・ご存知のとおり、全編モノクロ静止画(一部例外あり)にナレーションというアヴァン・ギャルド(仏映画だけに)なスタイル。お高くとまったスノッブな作品かと思ってたら、思いの他普通にエンターテインメントだったのが好印象。
・モンタージュとは元々フランス語ですが、「画と画の連続の中に観客が意味を見出す」という点で、この映画はその意味をより純化させていると思われました。
・『12モンキーズ』の要素は全部入っているとは聞いていたけど、本当にそうだった!雪景色、飛び立つ鳥、壁の落書き、動物の群れ、みたいなディテールまで余さず。あの物語を30分弱の尺で語りきってしまうとは・・・と思わず主客を転倒して感心しそうになるけれど、実は『12モンキーズ』の方が間延びしない形で要素を丁寧に拾い上げ、ブロウアップさせていることが凄いのだと思う。一番驚いたのはセコイアの年輪のくだりがこちらの作品にも登場していることで、その要素を『めまい』という形で挿入することを思いついた人はちょっと神がかり的センスだと思う(実は『12モンキーズ』で一番好きなシーンなのです)。
・ちなみに『12モンキーズ』にあって、こちらにない要素はブラピ。※1
・この映画のシニカルでグロテスクな雰囲気はフランス語なればこそという気がします。影響を受けている作品や監督は結構多いと思うけれど、直截的にはジュネ&キャロはトーンにおいても相当インスパイアされているのではないか。※2
・結末もスパッと終わるところが潔くて良い。
・と、褒め要素多めで書いてきましたが、知る人ぞ知る佳作、という位置づけがやはり正解なのかなと。しかし映画好きなら見て損はない作品だと思います。
☆☆☆1/2
※1.故に、12モンキーズも存在しないっていうね・・・
※2.押井監督もだそうです。言われてみれば・・・