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機動警察パトレイバー2 the Movie(押井守)

 恥ずかしながら今更初めて観ました。メカの構造などのディテール描写は今の目で見ても素晴らしいクオリティ。なるほどハリウッドで引用されるのもむべなるかな、という感じ。
 ただその一方で、中心人物たちが語る哲学的(風)、あるいは衒学的といってもいい政治的なダイアローグは空疎に響く。つまり押井作品に一貫して感じられる印象はここでも変わらず。
 思うに、繰り返し監督作品で語られる「学生運動やあるいはそれがそのまま場所を移したかのような政治的組織の内ゲバ」というのは実は本題ではなくて、『ビューティフル・ドリーマー』で描かれていたような「終わらない学園祭」感覚こそがまずありきで、それを成立させるためにテーマを引っ張ってきているのではないかと(つまり主客が逆)。(同じ理屈で言うなら、『ビューティフル・ドリーマー』で完成を見たメガネの過剰すぎるモノローグというのもアジ演説のパスティーシュではなくて、過剰さそのものが本体なのでは、ということ。)作品を重ねるごとにシリアスさを増していっているので分かりにくくなっているけれど、この作品では元特車二課のメンバーがまるで台風の到来にワクワクするかのように戒厳令下集合するシーンにそれを感じました。(そもそもリアルな学生運動自体がそうだったのではないかと思うんだけど。)
 という訳で物語的にはウーン・・・という感じ。南雲課長とテロ実行犯の不倫話もクリシェに過ぎて響いてこないし(結末のあの描写もちょっとなあ)。しかしメカの描写ももちろんですが、冬の季節感であったり、街を切り取るレイアウトの美しさは絶品で(特にビルの角部屋のオフィスからヘリを見る光景!)。ずっと画だけ観ていたい映画でした。それだけで十分ともいえるけれど。
☆☆☆(画は5点)
※ところでレイアウトマンとして故今敏監督が参加しているせいか、画作りに類縁性を感じるところ多々ありでしたね。