ブラック・スワン(ダーレン・アロノフスキー)

 ナタリー・ポートマンは生真面目で頑張りすぎちゃう人、というパブリックイメージがあると思うのだけど、それが役柄に2重写しになる(彼女の身体を通してキャラクターを成立させることが演出戦略上織り込み済みである)という点で、先日観た『ヌードの夜』新作の佐藤寛子を連想しました(最近くどくて済みません)。以下感想メモ。
・ボディダブルが論争になっていたようですが、例えば『ウィンブルドン』みたいに「これでプロって言われても・・・」ってなるくらいなら、むしろ正々堂々使ってほしいと思うけどなあ。まあ「本人が頑張りました」というのがセールスポイントのひとつだったから仕方ないかもしれないけれど。バレエシーンそのものは置くとしても、バレエダンサーの肉体を自らのものにしている(かのように見える)という点では完全に合格でしたよ。
・娘を通して自らの夢を実現することが殆どオブセッションになってるお母さん、を演じるバーバラ・ハーシーミッキー・ロークに見えて仕方なかったよ。
・演出家がルロワという名前なのは、やっぱりカンパニーの「王(le roi)」という意味から?
・クラブの画は格好良く撮るのが難しい、という話がありますが、この作品でもやっぱり『ジェイコブス・ラダー』風(もしくは『ブレイド』風)のフラッシュバシバシ撮りで逃げてましたね・・・
・着信まで「白鳥の湖」って、自分を追い込みすぎ!
ウィノナ・ライダーは事前情報がなかったのでビックリしました。そして良かった(些か飛び道具的ではあったけれど・・・)。
・ライバルのリリーは一貫していい子なのね(ミラ・クニスまたも好演!)。もっと嫌な展開を予想してたから。
・なぜキャメロンやウォシャウスキー兄弟から「引用」されてたらちょっと誇らしげなのに、アロノフスキーだと怒られるんだろ。
 という訳で『パーフェクトブルー』との類似が喧伝されていましたが、「その瞬間」を感じられるなら何を代償にしてもいい、というアーティストの魔についての物語、という意味でむしろチャールズ・ボーモントが書きそうな話だと思いました。なんだ僕の大好物じゃないか!
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