瞳の奥の秘密(ファン・ホセ・カンパネラ)

 クラシックなスタイルでじっくり見せるタイプのミステリかと思いきや、スタジアムのシーンに象徴的なように時々野心的な撮り方で攻めてくるのが嬉しい驚き。また例えば「イレーネが容疑者を追い詰めていく際に、パブロの闖入であわやとなる」シーンのような緩急つけた演出によるサスペンスの醸成、といったように実に褒めポイントは多い。事件の顛末のザラッとした感触も印象深い。
 のだけど・・・主人公たちの最後の決断が個人的には納得いかなくて。そりゃあんたたちはいいかも知れないけれども、という気がしてねぇ・・・結末の受け止め方で大きく評価が変わる作品ではないでしょうか。
☆☆☆1/2
※補足:結末近く、主人公がモラレスに「私はあなたの生き方に真実の愛とはなにかを教えられたんだ!」というようなことを一方的にまくし立てるシーンがあるのだけど、余りに押し付けがましくて(しかも過酷な事件の被害者をつかまえて)これはちょっと退くなあ・・・でも(映画としては)そこがイイ!とその違和感をこそむしろ積極的に評価したい気分だったのだけど、最終的なあれこれから判断するに監督としては違和感どころか普通に是としていたということでしょう?・・・ううむ。