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今年読んだ小説ベスト5

 今年出た本、ではなくて、個人的に今年読んだ本のベスト5です。振り返ると(映画も豊作でしたが)今年は手に取った本がみなどれも面白くて、充実した読書ライフだったように思います。(相変わらず量は読めなかったけれども・・・)普通だったら確実に5位に入ってくる『フランキー・マシーンの冬』すらギリ圏外だったという。それでは師走もギリギリになってきたので独断100%で書かせていただきます。
・卵をめぐる祖父の戦争(デイヴィッド・ベニオフ):純文学(というカテゴライズも有効なのか微妙ですが)とエンタメの両立で毎回唸らされるベニオフなんだけど、思い切ってエンタメ全開で舵を切ったという印象。短篇『オレホヴォに悪魔がやってくる』の寒々しい世界観を娯楽作品として軟着陸させた爽快な青春譚。ディテールの切れも相変わらず見事でした。
コンラッド短篇集:岩波文庫版(ジョゼフ・コンラッド:中島 賢二編訳):『闇の奥』の世評もあり、難解な先入観をもっていたけれど、なんの、引き出しは多いし、血沸き肉踊るアクション巨編みたいな話も、凍てついたエスピオナージュも書けるエンタメの祖先みたいな作家でした。ただ別の文庫では訳者によっては読みにくいものもあったので、中島スキルに拠るところも大きいのかも。
WORLD WAR Zマックス・ブルックス):エキゾ趣味に過ぎるという批判もできるんだけど、圧倒的な臨場感と、世界を丸ごと再現してやろうという野心は買いたい(偉そうで済みませぬが)。次回作が勝負かなあ・・・
・ともしび・谷間(アントン・P・チェーホフ):チェーホフといえば『桜の園』(未読)という印象で、退屈なのかなあと思ってたら、何コレ超面白いわー。やっぱりクラシックも知ってるつもりにならずにチャレンジしてみるものだなあという思いを新たにさせてもらった短編集でした。お薦めです。
ペンギン・ハイウェイ(森見 登美彦):森見作品は以前からスーパーナチュラルな要素はあったのだけど、完全にSFを志向して書かれたという意味で確かに新境地だったのだと思います。『ソラリス』リスペクトというのも良かったのだけど、幼い日に年上のお姉さんとの切ない出会いがあったかのような(それこそP・K・ディックのような)捏造された記憶が再現されてしまう作品でした。なんか萌え萌えしたうそ臭いヒロインが出てくるんでしょ?という先入観がある人にこそお薦めしたい気がします。
 というベスト5なのですが、その他に挙げるならば『拳闘士の休息』(トム・ジョーンズ)のパワフルかつ無軌道ぶり、『無伴奏ソナタ』(オースン・スコット・カード)の「エンダーのゲーム」だけの人じゃないんだな、という多彩ぶりが印象深かった1年でした。
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)
コンラッド短篇集 (岩波文庫)
WORLD WAR Z
ともしび・谷間 他7篇 (岩波文庫)
ペンギン・ハイウェイ