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プレスリー対ミイラ男(ドン・コスカレリ)

 多分ソフト化されている監督作品は全部観てるはず。ホラーファンタジーなんだけど、不思議なペーソスが通底している気がして。この作品は特にその感触が濃厚でした。
 人生の終着駅感あふれる老人ホームで、ただ繰り返される日常に流されるままになっている、キングことプレスリー。彼は頻発する入居者の突然死の原因が、甦ったミイラの仕業であることに気付く。虚飾に塗れた人生を清算するために、彼は初めて本物のヒーローとして生きることを決意するのだが・・・
 もしかしたらボケた老人の妄想かもしれない(というかその可能性が強いのだけど)、しかも舞台は彼岸と此岸の狭間にある老人ホーム、という全てが夢と現のボーダーにあるような世界でファンタジーを成立させるという試みにグッときました。考えてみたら切ない話なんだけど、あくまで語り口はとぼけたコメディというのもいい。
 そういえば先に原作のランズデール『ババ・ホ・テップ』も読んでいたのですが、意外や忠実な映像化になっておりました。
☆☆☆1/2
※ところでよく間違われてるけど、(上記の『暗号解読』との絡みで)エジプトのヒエログリフ象形文字ではあるけれど、アルファベット的な表音文字なんですよね。だから一文字だけで、「甦る死者」や「魂の救済」を意味している訳ではないのですが・・・