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暗号解読(サイモン・シン)

 著者の本は鉄板と聞いて。なるほど読ませます。テーマごとの列伝形式になっているのでメリハリがあってよかったですね。世界史専攻の身としては、やはりシャンポリオンロゼッタ・ストーン解読のくだりが面白かった。
 第二次世界大戦を背景にした作品で好んで取り上げられるマクガフィンであるエニグマも登場しますが、例えば『U−571』での描写のようにハードさえ手に入れたら万事解決というようなものではなくて、(考えてみたら当たり前なんだけど)運用するシステムやソフトウェアを理解できないと暗号そのものを解読することはできないんですね。エニグマのエピソードでは、同性愛者であったり奇矯な個性の人物だったということで、これまた小説などによく登場するアラン・チューリングがもちろん紹介されていて興味深かった(イーガンの『オラクル』はその時期の話だったかな)。
 ところで(どのテーマにも共通することですが)一人の天才のセンスと閃きによって暗号解読が達成されたのは事実であるけれど、先行する研究者の研究の積み重ねがあったればこそ、というのが今回の発見でした。
☆☆☆1/2