死神を葬れ(ジョシュ・バゼル)

死神を葬れ (新潮文庫)
 昨年結構話題になっていたノンストップ医療?アクション。実際に読んでみたら、ストレートな活劇というよりは余談と注釈が本文を乗っ取る勢いという、チャック・パラニュークを彷彿とさせる作品でした。(明示されている訳ではないけれど、「教授」の存在がタイラー的なので余計にそう感じたのかも。)
 この小説が上手いのは、研修医のハード過ぎる日常を描く「現在」と、黒社会で生きてきた血なまぐさい「過去」を交互に配して、それぞれの展開がちょうど盛り上がってきたところでスイッチするという、マンガ週刊誌のようなクリフハンガー演出。もーじらすことじらすこと。ただナチスネタとそれにまつわるエピソードについては、政治性は余計ではなかろうかと思わずにはいられなかったのですが。(映画『キングダム』の結末のくだりをエクスキューズととるか否か、という論点に近いですけど。)
 例によって映画化が、しかも主演ディカプリオで進められているそうで。(IMDbでは2012扱い。どうなりますことやら。)個人的にはそれこそエドワード・ノートンがはまりそうなんだけど、過去パートのことも考えるともっと若い人がいいんだろな・・・※2
☆☆☆
※知り合いの看護師さんに聞いたらオペ中の描写は結構正確みたい。まあ作者は研修医なので当然といえば当然なのだけど。
※2ジョセフ・ゴードン=レヴィットがいるじゃないか!