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ビザンチウムの夜(アーウィン・ショー)

 栄枯盛衰の激しい映画ビジネスの世界で、かつては大立者として認められたクレイグ。しかし時代の趨勢には逆らえず、ここ最近は半ば忘れられた存在だった。そんな彼が久しぶりにカンヌの地に帰ってきた。それは自ら初めて書いたシナリオを「仲間たち」に問うという新たなチャレンジだったのだが・・・
 学生時代にショーやアップダイクなどのニューヨーカー派の小説にはまっていた時期があって、作品テーマである人生への諦念やそれでも残る自身への矜持みたいなものに対して、漠然と「大人であることだなあ」と若いなりに感じ入っていたのだけど、いたのだけれど。・・・どちらかというと主人公達の年齢や感覚に近づいてきた現在において顧みると、(逆説的ですが)ああいった作品というのは、むしろ若い人こそが読んで感心したり、人生を先取りして味わうべきものであって、主人公と同年齢の人が100%共感したりするのはちょっとみっともないかもしれないな、と今回読んでみて思いました。(あえて無茶なこと書いてみております。)それでもやっぱり好きなのは好きなんですけどね。
 そういえば実人生を反映するように、妻に対する不満を語るパターンってこのジャンルでは結構多いと思うけど(サローヤンとかそればかりのような?)、なるべくフェアに書こうとしている努力は認めつつも、ちょっとどうなんだという気にもなります。
 ところで、映画の世界の内幕ものということでW・ゴールドマンの『ティンセル』を思い出したのですが、同じような話なのに、やはり随分ニュアンスが違うんですよね。ちょっとナルシスティックだったかな。(ティンセルは相当イジワルな話でしたけど。)
☆☆☆1/2