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地獄の黙示録:特別完全版(フランシス・コッポラ)

 アポカリプスなう、という訳で『闇の奥』を読んだらすごく久しぶりに観たくなって。ちなみに「完全版」を見るのは初めてでした。(人によってはネタバレかもしれません。)
 翻案だけあって、基本的な精神は記憶していたよりも忠実な映画化でした(どころか、まんまなビジュアル化もちらほら)。ただ結末は「映画的な決着の着け方」を意識してか、『金枝篇』(実際、「カーツの書斎」にも置かれている)において言及されていることで有名な、物語の原型のひとつでもある「王殺し」をなぞっていて、結果的に全体の印象が違います。実際のところは、エンディングを決めないまま見切り発車でクランクインしたコッポラが、適切な終わらせ方を見出せずに途方にくれていたところ、友人が助け舟をだしたのが件の『金枝篇』だったということですが。原作はむしろ、デニス・ホッパー扮するカメラマンのセリフのように「終わりはドカンと派手な爆発じゃなくて、メソメソとやってくる」話であって、そのいわく言い難い宙吊り感がポイントだったような。
 そもそも『闇の奥』の映画化は何人もの監督が断念した難企画で、当時とりわけ勢いのあったコッポラが俺ならやって見せてやるとばかりに着手して、結果、自身が正気と狂気の境にまで追い込まれたあげく、カーツのようなカオスを生み出してしまった、というむしろ舞台裏そのものが原作に忠実だったというオチ。「クルツと同じ闇の奥を俺も覗いたんだ」というマーロウ(原作におけるウィラード)の言葉が身に染みたに違いありません。それはさておき、ご存知のとおり印象深い画作りも多く(カメラはヴィットリオ・ストラーロ)、CGのない時代にこれだけの規模の作品を捻じ伏せた腕力には感嘆させられました。
☆☆☆☆