決断の3時10分(デルマー・デイヴィス)

 『3時10分、決断のとき』のオリジナルです。大きな違いは、駅までの道中の行程をあっさりとばすところ。しかもそこからが結構長い。そのため、弾丸の代わりに言葉が飛び交う会話劇としての色合いがより濃くなっていた印象を受けました。しかも息子が同道しないため、個人的にはリメイクでの泣かされどころだった「俺の生き様をその目で見届けてくれ」という趣旨はかなり薄くなりました。
 ただ、だからつまらないかといえば全然そういうことはなくて。誰が何を決断するのか?という点に焦点が絞られているため、サスペンスの度合いはこちらのほうが高い。しかもリメイクをご覧になった方ならお察しいただけるかと思いますが、息子が関与しないため決着の着け方も随分違います(オリジナル派の方も多いだろうなと推察)。ともあれ、リメイク対象としてこの作品を取り上げた製作者の慧眼と、そのアレンジの素晴らしさを改めて賞賛したいと思いました。
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