大女侠(チャン・チェ)

 奇しくもジミーさん2本立てだったのだけど、希望順位に関係なく送りつけてくるディスカスさんの粋な計らいによるものです。ちょっと前に前作にあたる『大酔侠』も観ていたのですが、いやーチェン・ペイペイが本当にチャーミング(『グリーン・デスティニー』では無理やり引っ張り出さない方がよかったのでは?ちょっと切ない・・・)。でも看板に偽りありで、本当の主人公はジミーさん演じる銀鵬なんですね。
 前作の死闘の後、義賊として活動していた金燕子は、ある時敵からの毒矢を受けて命を落としそうになる。そんな彼女を死地から救ったのは義を重んじる武術家、韓滔だった。いつになく穏やかな時間を重ねる二人に、不吉な知らせが届く。最近彼女の名を騙って悪党を虐殺している者がいるというのだ。その手口を聞いた金燕子には思い当たるひとりの人物があった。それは袂を分かった弟弟子「小鵬」だった・・・
 まあ大雑把にいうと三角関係の話。言う事は正論なんだけど、行動が微妙に的外れな韓滔にイライラさせられます。が、これは金燕子を愛するが故の空回り。彼女の優柔不断さが全ての悲劇の元凶といっても過言ではない、というのは、まあメロドラマの王道を行く物語であるからで。
 ところで銀鵬(小鵬)は劇中語られるように「腕も一流ならルックスも一流」という設定なんですが、ジミーさんが初登場する場面ではえぇ・・・ってなるくらい肩透かしだったと思います。ところが圧倒的な技量で敵を瞬殺する場面や、要所要所でのハンサムすぎる発言で、だんだんそう思えてくる映画のマジック。『薄桜記』にも比肩するクライマックスの文字通りの血闘では感情移入して、涙なくしては観られませんでした。(そういえばこの作品に限ってはちょっと雷蔵っぽい・・・かもしれない。)これは相当面白かったです。
☆☆☆☆1/2
※今回の素敵なセリフ:(馴染みの芸妓が「彼女(金燕子)がわざわざ止めにくるなんて、危険な相手なのね・・・行かないで!」と制止するのに応えて)「女はみんなそう言う」そして旅籠の2階からダイブ !