パニッシャー:ウォーゾーン(レクシー・アレクサンダー)

 (世評芳しからぬ)前作が大好きだったので、今作の話を聞いたとき、実は監督が変わったのが一番残念だったのだけど・・・
 前作はトンチの効いた展開やゆるい悪役キャラなどの要素が渾然一体となって独特の世界観を確立していました。「確固とした世界観がある」という点だけでも個人的には高評価だったのだけど、この感じ、何かに似てるなあ、とつらつら考えていたらそれは『ダークマン』。グロテスクな描写やバイオレンス溢れるアクション、その一方でどこかすっとぼけた悪役たち。それらがアメコミ風なのは、もちろんサム・ライミが『スパイダーマン』を諸事情から撮れなかった思いをぶつけていたからなんだけど、後年実現した作品はソフィスティケートされすぎていて、実際にアメコミを読んだときに感じるような野暮ったくもワクワクするあの感触からはむしろ遠ざかっていて残念でした。そういうもろもろを踏まえた上でも、大作ぶってない『パニッシャー』は好印象だったのです。
 さて今回の『ウォーゾーン』ですが、かなり面白かった。せっかくだからライミ作品で例えると、エクストリームすぎる人体破壊描写がむしろ笑いを狙って演出されているという点で『死霊のはらわた』的。とにかく敵味方含め、重要そうなキャラでも容赦なく死んでいく。そしてアクションはどこまでもスタイリッシュ。ただ惜しいかな、よくできたアクション映画という以上のサムシングは感じられなかったんですよね。
☆☆☆1/2
(ところでドルフ・ラングレンの第一作は『クライング・フリーマン』とごっちゃになってしまって話も良く覚えておりません・・・)