ウルヴァリン: X-Men zero(ギャヴィン・フッド)

 デイヴィッドいい仕事した!
 実写版サイボーグ009みたいな愉快な仲間たちとのミッションというワクワクする冒頭から始まって、とにかく無駄がない展開。「悪の組織により心ならずも改造手術を受けて、からくも洗脳前に脱出、孤独な復讐戦に挑む」という王道の「改造人間もの」フォーマットに則ったプロットは東映ヒーロー直撃世代には堪らないものがあります。考えてみたらその源流は「抜忍もの」にある訳で、現在奇しくも洋邦「抜忍外伝」対決になってるんですね。(さらに異形の者同士の血闘ということでは山田風太郎の「忍法帖もの」的でもあり。ガンビット登場シーンの絡みにはとりわけその色彩が濃かったです。)
 正直ベニオフの脚本仕事は微妙なものもあるんですが、今回は痒いところに手が届く、こう来てほしいという展開が(「肝心な所で間が悪いガンビット」のテンドン含め)ビシビシ的確に決まっていました。そういう意味では「予想を裏切る驚愕の展開」など一個もないベタな話なんだけど、ツボにはまればこれほど気持ちいい映画もないと思います。それにはもちろん監督の手腕も大きいわけで、大作は初めてなのにハッタリの効いた画づくりでこれまた良かった(しかしハリウッドって時々思い切った抜擢しますよね)。見得の切り方も堂に入ってました。
 さて周囲を混沌に叩き込む兄弟ゲンカということで「サンダ対ガイラ」を引き合いに出しているレビューをよく見かけるのだけど、個人的にはキカイダーハカイダーの関係を思い出しました(特に結末の展開に)。ところで散々CMでも流れてますが、ああいう現実とのリンクって良かったのかねぇ・・・というところにもハリウッドを感じたり。
☆☆☆☆1/2