96時間(ピエール・モレル)

 ベッソン率いるヨーロッパ・コープ作品で素直に面白かったといえるのは『キス・オブ・ザ・ドラゴン』ぐらいだったのだけど、これは噂どおり、予想以上に面白かったです。思うに最大の美点は「冗長なところがない」ところ。
 ボーン・シリーズによって最近のアクションのトレンドは刷新されたけど、どのように取り入れるかという点でまだ試行錯誤の過程にあるとも思われます。(というのも主人公が相当なプロフェッショナルであることが前提だから。)007のように古くからのブランドに導入するという方法もひとつの手だけど、この作品では「娘がさらわれたらそりゃ助けに行くだろ」というシンプルなモチベーションに徹することで観客の共感を得ることに成功していました。都合のよさもそう感じる隙を与えないケレンが効いてます。
 ところで娘のデジカメに残された写真を手がかりに誘拐犯を特定しようとするシーン、あれはやっぱり『ブレード・ランナー』へのオマージュなのかしらん?あんな素敵ガジェットがそうそう町中にあるとは思えないけれど(俺が疎いだけ?)、やっぱり理屈抜きに燃えますね。
 ともあれ、娘は海外旅行する度に誘拐されて、その都度お父さんが助けに行くということでシリーズ化したらいいと思う。それと完全なる余談ですが、ファムケ・ヤンセンは顔をいじりすぎで、ビクトリアみたいで怖かった。あと片方だけ肩を出しすぎ。
☆☆☆☆ 
 今回のシビレるセリフ:「デスクワークで勘が鈍ったな!銃弾の重さを忘れたか?」