デッドエンド 暗戦リターンズ(ジョニー・トゥ)

 ビルの屋上での「コインは表か裏か?」の賭けを巡る冒頭でのやりとりとその顛末(口先だけで刑事を自殺に追い込む犯人(イーキン・チェン)→召集される救急隊とエアマット→自分が飛び降りて逃走)はとてもスマートで格好よかった。
 その場面のみならず、シーンごとの瞬発力は素晴らしく、例えば「犯人が単身警察署に乗り込んで、目的の大金を強奪する」というシーン。肝心のアタッシェケースを守っていた刑事がまんまと金を持ち去られたのは、口封じに銃を突きつけっぱなしにされていた(と勘違いさせられた)からなんだけど、「紙の裁断機のレバーハンドルを背にしてアワアワしている男」を写すだけで前後の脈略を語ってしまう演出の経済性の高さ!ほとんど神ががり的でした。
 ただ残念なのは、個々のエピソードに光るものがあっても、それらが全体を通して有機的なストーリーラインを構成していないこと。結果として、刑事側の主人公が介入しない方が問題がややこしくならなくて良かったのでは?という話になってしまっている。まあ典型的な香港映画というか「大枠として前作の展開を踏襲する」というコンセプトしか準備してなかったんだろうなぁ、ということが推察されました。両輪が揃えば傑作になるんでしょうけれど・・・惜しい方のトゥ作品という感じ。
☆☆☆1/2