ベンジャミン・バトン 数奇な人生(F・スコット・フィッツジェラルド)

 フィッツジェラルドという作家は、本当に「わたくしは北部の社交界も知ってるのよ。そこらの南部娘と一緒にしないでいただけるかしら?なんて若い頃は意気がってたけど、やっぱり南部が落ち着くわー」という女の子が周囲を振り回しながら歳を経る過程を見てきた主人公が「相変わらずあの人は美人だけど、全力で付き合わなくて結局正解だったんだよな・・・」と距離を置きながら感傷に耽る、という話ばっかり書いてる人なんですね。
 まあそこがいいのだけど。でもやっぱりというか、『バビロン再訪』や『金持ちの御曹司』クラスの傑作というのはなかったように思います。肝心の表題作は・・・シニカルなファンタジーとして可もなく不可もなくという印象でした。
☆☆☆