影響力の武器(ロバート・B・チャルディーニ)

 ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックやローボール・テクニックといった言葉をご覧になったことはないでしょうか?これらは承諾誘導に関する用語なのですが、男性誌(SPAとかファッション雑誌)で定期的に取り上げられるコミュニケーション関係(対営業とか対女性の)の記事の元ネタは、これだったんです!
 対人関係の力学において、(漠然と理解しているけれど)何故自分がそういう行動をとるに至ったのか(主に不本意な場合)について、ケーススタディが理路整然と記述されていて、きっと思い当たる節があると思います。読んだら「そんなこと知ってるよ」とは思うのだけど、すっきりとインデックス化されているのが肝なわけで。散々「女性を口説くテクニック」みたいな特集に使われているのも、使い勝手がいいからだとよく分かります。
 それにしても「社会における規範」が無意識の人間関係に働きかける圧力の大きさについては、事例の豊富さもあって納得させられる。「ブラック滝沢の法則」(炎の転校生)なんか正にこれですね。(話ついでに、島本和彦の漫画って「人間関係のストラテジー」についていいところ突いてますよね。)
 単純化されすぎのきらいはあるけれど、さくっと読めるつくりなのでこれはお奨め。ところで新人研修の頃、3ヶ月ひたすらマーケティング関係の本を読まないといけないことがあったのですが、この本も同じにおいがしました。マーケのビジネス書籍って本の趣旨から形式が似てくるのは分かるのだけど、内容とかトーンまでもというのはどうしてでしょうね?
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