崖の上のポニョ(宮崎駿)

 今回の宮崎監督はかなり自由だなあ。自由すぎる感じもあったけれど。支離滅裂な物語にどう決着をつけるのか、が映画最大のサスペンスになっているというのもすごい。あと伝え聞くとおり、今までの作品では隠し味的な要素だったエロスが今回かなり直球。宗介の指の血を舐めるポニョや、瓶から救い出そうとするときのポニョの下腹部を押さえる宗助の指、裾だしシャツから見えるリサの背中、とか。観にきた子供の「ヰタ・セクスアリス」になってもおかしくない。
 押井守が常々「フリチンの宮さんが見たい」と語っているのは有名ですが、今作の内容にはかなり満足だったのではないかと観終わった後そのことを思い出したのだけど、TVBrosのインタビューを読むと案の定好評価だったみたいですね。大概いろんな意味で全開だったもんなぁ。
 ところで内容がシュールだから、小さいこどもたちは最後まで集中が持たないのではないかと心配してたら、意外と大丈夫だった。「画が気持ちよく動けば、日常描写だけでも作品はもつ」というハイジ的な原点回帰だった気がします。
☆☆☆☆