裸のランチ(デヴィッド・クローネンバーグ)

 この作品と『イグジステンズ』の関係は、何となく『ブレードランナー』と『ブラックレイン』の関係に似ているような気がする。それぞれ後者はエンターテインメント要素を増量した焼き直しという感じ。それがダメというわけじゃなくて、どちらも好きなんですが。
 というよりむしろ、率直にいって、クローネンバーグ作品のある系譜(「ヴィデオドローム」、「クラッシュ」、「戦慄の絆」等)というのは大体同じテーマの変奏なんでしょう。我と世界の境界がグダグダになっていく瞬間へのオブセッションというか。その時々のネタに対して鑑賞者が乗れるか、乗れないかがあるだけで。観たのは久しぶりだったけど、造型のチープさも含めてこの映画は面白かった。(マグワンプを大フィーチャーした巡回展を見に行ったことを思い出しました。)
 それより更に興味深かったのが、ちょっと本末転倒ですが、DVD特典のメイキングでのバロウズへのインタビュー。いろいろ映画に対して辛辣な発言をしたりしてて。『シェルタリング・スカイ』批判はプロデューサーのジェレミー・トーマスへの当てつけなんだろうな、とか。老人力爆発。しゃべってる絵を初めて見たけど、「テクノドン」の声そのままだったすね。
☆☆☆1/2