線引き

 ユリイカ11月臨時増刊号は荒木飛呂彦特集だった。僕は『魔少年ビーティー』の頃からのファンだけど、よく知られるように、作者は作中で映画や小説からの引用というかオマージュ的な描写を登場させることが多い(ex.『激突』『極大射程』)。意地悪な言い方をすればパクリということになるんだろうけれど、個人的には(荒木飛呂彦だけに関らず)作者なりに消化されていればそういうのは全然OKなのではないかと考えている。
 なんだけど、今回の特集の巻頭企画である作者本人を含めた鼎談の中で、吉良吉影の「爪収集」の設定は自分がペン先を捨てるときに小瓶にためているのが元ネタと語っていて。そのシーンというのが、原田宗典の短編にほとんど同じ画づらの(小説なのに画づらっていうのもあれだけど)展開があるんですね。リアルタイムで4部を読んでいたときには「こういう所からも引っ張ってくるのか・・・」とむしろ感心したぐらいだったけど。
 なんだか冒頭の趣旨とは矛盾するようですが、そしてまあ偶然似たような描写になったということもありえなくはないのですが、100%オリジナルのアイディアと断言されると、それはどうなんだろうとちょっとがっかりしますね。