ロスト・イン・トランスレーション(ソフィア・コッポラ)

 そうか、この曲があったな!ほとぼりがさめたら使おう、と寝かせておいた(と思しき)エバーグリーンな名曲がひょっこりCMに登場することって割とよくあるけれど、この映画で使われてたんですね。アサヒビールの「風をあつめて」。
 さて、ネット感想文を散策するとやっぱり賛否両論まっぷたつで、「日本人を見下した視点が不愉快だ」(ex.LRの発音、繰り返される日本人は背が低いという描写)という意見がある一方で、「寄る辺無い異国で誰かと孤独を癒しあいたい、という普遍的な感情を描いている作品なんだから、そういう偏狭な視点では本質を見誤る」みたいな肯定的意見もある。しかしまあ映画を見た大半の人は、どちらの意見ももっともだと思うんじゃないでしょうか。
 それはそうとして、『Mr.ビーン』や『ネイバーズ』みたいな「迷惑な隣人もの」コメディがビタイチ面白いと思えないという事と同じ意味において、やっぱり「病院ではしゃぐ人」の描写は外国人であろうがなかろうが不愉快だし、日本人キャストでいうなら「最先端気取りの夜遊び仲間」は何か恥ずかしかったし、感じ悪かった。要は舞台が日本かどうか以前の問題ではないかってことですね。
 そういったあれこれを踏まえた上での感想ですが「甘えんな」と。200万ドルものギャラをもらうんだから、そりゃ不愉快なことを我慢しなきゃいけない場面もあるでしょう。というか大変だから仕事として給料が頂けるわけで。あとシャーロットも夫がずっと一緒じゃないからと拗ねるのは・・・そんな四六時中構ってあげられる訳ないじゃない。という結論に行き着くのは、やっぱり作品の向こうにソフィアの影がずっと見えてるからなんだろうね。いや、言いたいことはわかるんだけど。
☆☆☆