東京奇譚集(村上春樹)

 最近の村上作品は「手癖だけで書いてる」感があって今ひとつピンとこないのだけど、残念ながら今回もそれは払拭されなかった。トレードマークの気が利いた比喩も、もはや自己模倣的(というか村上フォロワーの作家作品みたい)。
 ただ書き下ろしの『品川猿』だけは人生のもつ容赦ない残酷さがテーマであるとか、「羊シリーズ」みたいな(あるいはカエルくん?)クリーチャーものでもあって、面白く読めた。
☆☆☆