イン・グッド・カンパニー(ポール・ウェイツ)

 大好きな『アバウト・ア・ボーイ』以来ご無沙汰だった監督の日本劇場未公開作品。
 スポーツ雑誌の営業部門の重役を務めるサラリーマン、ダン(51歳)。彼の会社はある日突然、大手企業に買収されてしまう。そこへ親会社から乗り込んできたのが、26歳のカーター。ダンは重役ポストを失ってしまったばかりか、昔かたぎの営業マンのため新体制になじめない。吹き荒れるリストラの嵐。その上、愛娘のアレックスがカーターと付き合いだしたようで・・・
 あらすじだけだとよくあるタイプの人情コメディみたいだけど、さすがに『アバウト・ア・ボーイ』の監督・脚本の人だけあって、物事のシビアな側面を忘れない少し苦味の効いた作品になっていた。シンプルでウェルメイドなつくり(絵に描いたような大団円!)が好まれるジャンルなので、未公開になってしまったのも分かるような気がする。例えばもっと針の振り切れたようなシニカルな映画だったら逆に公開されたのかもしれない。けれども(若い方の主人公)カーターの繊細微妙なキャラクター造型に象徴されているように、捨てがたい味わいがあった。
 ちょっとだけ出てくるセルマ・ブレアもよかったです。
☆☆☆1/2