300 スリーハンドレッド(ザック・スナイダー)

 恐ろしくタカ派で、かつ恐ろしく不道徳な映画。
 噂どおり、画づらのコントロールは完璧。なんだけど、テーマに気持ちの余裕がない分、「おもしろ」成分も不足しているように感じられて、コミックのまんま映画化の試みとしては『シン・シティ』の方に軍配を上げたい。
 それと、『指輪物語』3部作ではオブラートに包まれていた、いい方:白人VS悪者:有色人種という図式がズバリ描かれていて、今どき勇気があるなと変に感心した。(山川の図説を舐めるようにみていた「世界史大好き学生」でもそういう点には気付きにくいから、ある意味勉強にはなるね。)
 「不道徳な」の側面についてはシャレっ気のないテリー・ギリアムの映画みたいだなあと思ったことでした。まあ、面白く観ることはできたのですが、やっぱり諸手をあげて賛成はしかねる部分が気持ちの中にはあって・・・
☆☆☆(作品としての勢いと、エンドクレジットに)
※(追記)映画批評サイトのCinemaScapeで、レオニダスが「民主主義」を連呼するのはいかがなものか?当時のギリシアでいう「民主主義」と現代の「民主主義」では意味が違うのに、という趣旨の批判をされている方がいました。確かに意図的に混同させようとしていると取られても仕方ないような表現になっている箇所が作品中にあって、上記の「賛成できない部分」のひとつはまさしくそこでした。