カーズ(ジョン・ラセター)

 看板監督7年ぶりの登板作品。つまるところピクサーの強さというのは、ジブリが結局宮崎駿というスター監督に全てを委ねざるを得ないのに対し、実力のある複数の監督を抜擢してきちんと成果が出せるところにあると思う。

 今回内容は「長屋人情もの」。小さいお子様がもたなくて騒ぎ出すのがちょっとなんだったけど、きっちり楽しませてくれる相変わらずのウェルメイド。ちょっとスティーブン・キング作品を思わせるキャラが立体的な造形で、また泣かせてくれます。

 毎回、水の表現とか、海中エフェクトとか画期的な技術を見せてくれるピクサー作品。今回は夜のシーンが特徴的で、高速道路や広大な牧草地での光の表現が繊細で、夜独特の空気感を再現。

 ということで技術的なことに言及されがちでもある同社作品ですが、CGアニメが商売になると乗り込んできた他メジャー映画会社作品がこれといった成果を上げられないでいるのは、技術的にはそこそこのクオリティで仕上げられても、結局ピクサーの「センス」に到達できてないからだと思われる。というところで最初の話に戻るのですが、やっぱりジョン・ラセターはすごいね。ここぞという時(買収話とか)決めるもの。カチャウ!
☆☆☆☆