宇宙舟歌(R.A.ラファティ)

 処女作には(映画含む)作家のすべての要素が含まれている、とはよくいわれるところですが、まさしくそんな感じ。暴力的、けれどもなぜか牧歌的、しかも哲学的といういつもの世界。そして唯一無二の世界。

 ものすごくうろ覚えの知識で書くと、柳下毅一郎氏が大学時代に初めて翻訳したラファティ作品がこの作品ではなかったろうか。それもすごい話だけど。

 『オデュッセイア』を下敷きにしたSF英雄譚ですが、過酷な冒険の過程でつぎつぎに乗組員が死んでいく、その描写がものすごく笑える。なんかモンティ・パイソンの映画みたい。不謹慎コメディ小説の金字塔、とあえて断言したい。
☆☆☆☆